LMIR3と細胞外のセラミドとの結合はマスト細胞の
活性化とアレルギー反応を抑制する
伊沢久未・北村俊雄・北浦次郎
(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター細胞療法分野)
要 約
抗原および免疫グロブリンEにより高親和性免疫グロブリンE受容体が刺激されると、
マスト細胞は活性化しアレルギー反応をひき起こす。一方,生体においてアレルギー反応を抑制するしくみは謎であった。LMIR3はペア型免疫受容体のひとつで、ITIMおよびITSMとよばれるアミノ酸配列をもつ抑制型受容体である。LMIR3ノックアウトマウスを作製しそのアレルギー反応を調べたところ、マスト細胞の活性化により起こるアナフィラキシー、気道炎症、皮膚炎が増悪していた。他方、LMIR3の生理的なリガンドとして細胞外のセラミドが同定された。セラミドと結合したLMIR3は高親和性免疫グロブリンE受容体への刺激によりこれと共局在し、ITIMおよびITSMのリン酸化を介しマスト細胞の活性化を抑制した。また、LMIR3と細胞外のセラミドとの結合を阻害すると、野生型マウスにおいて皮膚アナフィラキシー反応が増悪した。これらの結果から、マスト細胞の周囲に存在するセラミドとLMIR3との結合により、マスト細胞の活性化とそれに付随するアレルギー反応が抑制されることが示された。
論文とは、難しく書くことに意味があり、
誰でも分かるようなポップなものではダメなので、
なんのこっちゃ?だと思います。
いやー、この要約は非常に便利で、
ここだけ読んで論文紹介とかしてたな・・・
さて、まずマスト細胞とは何ぞや?
ですが、別名肥満細胞とも呼ばれ、
様々な化学伝達物質を含んだ顆粒をもっています。
別に脂肪をため込むわけではなく、
餌を多く与えた動物に多く存在したことから、
このような名で呼ばれるようになりました。
感染症に対する防衛ラインの最前線で活躍する
マスト細胞は、アレルギー反応の主役でもあります。
顆粒にはヒスタミンなどの炎症物質を含むほか、
サイトカインを作り出し、炎症を誘発させます。
アレルギー反応が起こる仕組みは、
かなり詳しく理解されていますが、
それを抑制する仕組みは、よくわからなかったわけです。
その物質がセラミドであることを同定し、
それを証明した論文ということになります。
つまり、これは何を意味するかというと、
セラミドが不足している人は、アレルギーが
起きやすいということが分かったわけです。
乾燥肌になると、同時に敏感肌も併発する
場合が非常に多いです。
その理由がセラミドにあったわけですね~
商品紹介に登場する加藤さんも、
パラベンアレルギーになったのは、
乾燥肌が悪化してからでしたし、
紫外線やハチミツに対するアレルギーも
併発していました。
(いままではそんなことなかったのに、です)
そして、ナチュセラクリームでセラミドを
補うようになってからは、それらの
アレルギーもなりを潜めています。
(ハチミツはいまだにダメみたいですが)
そういうことだったのか~
と妙に納得できた論文でしたので、
紹介させていただきました。