化粧品の価格の裏側
神樹氏の書籍
『なぜ、カノジョは原価100円の化粧品を1万円で買ってしまうのか?』
ブラック心理マーケティングを解説した本ですが、
タイトルからすると化粧品のことが色々書いてあると思いきや、
最初の1章だけなんで、ちょっとガッカリ。
原料費10円以下の化粧品が1万円以上で売れる仕組みとして、
「共同幻想」
という言葉を使っています。
ぶっちゃけ、社会というのは共同幻想で成り立っています。
文化とも言い換えれます。
日本国内の常識が海外で通用しないのは、
文化が違う=共同幻想が違うからです。
化粧品はこの共同幻想を作り出す
巧みな仕組みがあるのだとか。
①パッケージ戦略
高級感のある容器や箱に入れることで、
豪華にみせる戦略。
容器やパッケージと中身に関係ないところに
お金がかかっているんです。
②広告・宣伝効果
単純接触を繰り返すことで高級品のイメージをすり込みます。
スポンサーに化粧品会社のない番組なんてないくらい。
③希少価値効果
特殊成分が入っているから効果で希少であり、
価格が高くなると思う心理。
④ウェブレン効果
高価であるほど見栄や顕示作用が働きます。
高いものを使う優越感みたいなものです。
⑤連合の原理
自分にふさわしいものを使いたいと思う心理。
高価なものを使うことで、自分の価値が上がると錯覚できます。
逆に安物を使っていると自分の価値が下がると思ってしまうものです。
ブランド物を持ちたがる心理です。
まず、原価とは、というところから説明しましょう。
原価とは商品を作った時のコストです。
原価率とか販売価格中に含まれる原価の割合です。
商品を100円で作れば、原価100円。
1万円で売っているのであれば、原価率は
100÷10000×100=1% となります。
さて、タイトルの原価100円の化粧品とありますが、
実際問題、100円で化粧品を作るのは不可能です。
・・・まあ、海外で作れば話は別ですけどね。
原料価格が10円以下とかありますが、
さすがにそれもないです。
原料メーカーが原料を作るコストとして考えれば、
それくらいにはなるのかもしれませんがね。
まず、原料メーカーからOEMメーカー(加工屋)が
原料を買うわけですが、原料の原価は10%くらいが相場。
中には1%というものもありますが、それでも初期投資を
考えれば、10%くらいにはなると思います。
つまり、OEMメーカーが買った時点で、
原料価格は10倍になるわけです。
で、OEMメーカーが加工賃+原料代に
利益率30~50%のっけ販社へ卸します。
OEMメーカーの原価が300円なら、
390円~450円で卸されるというわけです。
逆に卸価格100円にしようと思ったら、
OEMメーカーは77円で出さないといけなくなります。
原価率というのは、一般的には10~20%です。
1000円で売るなら、100~200円で作らないといけない計算です。
ただし、10000円の物は1000~2000円かけれるんですが、
そこに広告費を乗っけてくるので、半分くらいの原価にしている
ところもあります。
原価100円はさすがにないですが、原価500円くらいのものを
1万円で売っているものは現実的にあるかもしれません。
ちなみに、容器代は50~300円、
ロットによって価格が大きく変わります。
パッケージも10~100円と
ロットによって大きく変動します。
ですから、原価を抑えるために大量製造、大量販売できる
資金力のある大手にしか、原価率数%の世界は手が出せません。
大手が500円で作っているものを
中小零細が作ると、ロットの関係で1000円~2000円になるので、
原価率が低いといっても、企業努力と言えなくもない側面があります。
まあ、一番性質が悪いのは、
中小零細なのに、大手を同じ原価率で
物を作ろうとしているところですかね。
次が広告宣伝費を異常に使っているところかな。
後は、バカみたいな低価格品。
100円の商品なんて、原価率100%でも100円ですからね。
この仕組みが嫌なら、原料から自分で作らないといけませんが、
それは不可能です。
精々、原料を個別で買って、手作り化粧品にするしかないわけですが、
少量で売っている原料は、原料メーカーから原料を購入し、
容器に充填しているので、原料メーカーから直接購入する場合の
10倍以上の値段になります。
結局、商品に付加価値を与えることで
商売をしているわけです。
化粧品に限らず、服でも車でも、
なんでもそうなんです。
化粧品業界がスゲーボッタくってる
ような書き方をされていますが、
そういう訳ではないですよん。
え?うち?
クリームは定価の20%が原価になりますわ。
一番原価率が高いのが石鹸で、原価率50%(爆)
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