アトピー性皮膚炎は肌の菌叢の変化が原因か?
2015年4月21日に慶應義塾大学医学部皮膚科学教室と米国National Institutes of Healthの
永尾圭介博士(元慶應義塾大学医学部専任講師)との研究グループは、
アトピー性皮膚炎における皮膚炎が黄色ブドウ球菌などの異常細菌巣によって
引き起こされることを、マウスを用いて解明しました。
アトピーを引き起すマウスは、生後4週間からC.mastitidisという菌が出現し、
続いて黄色ブドウ球菌が出現、最終的にはC.bovisという菌と黄色ブドウ球菌が
皮膚の菌叢を支配するという結果になったそうです。
Corynebacterium mastitidis・・・コリネバクテリウム属の細菌ですが mastitidisはあまり聞き慣れない
種かな・・・というか調べてもよくわからん。
Corynebacterium bovis・・・同じくコリネバクテリウム属の細菌。牛の乳に炎症を起こさせるとか。
最終的にアトピー肌の菌叢を支配する黄色ブドウ球菌とC. bovisに効果のある
2種類の抗生物質を投与することにより、症状は改善することから、
ステロイドに頼らないアトピーの治療法の確立に期待されるという話です。
ただ、抗生物質で治療しても、投薬を中止するとすぐに菌叢が
戻ってしまうという結果も出ているので、もしかしたらもっと根本的な
何か原因があるのかもしれません。
以前、似たような話がありましたが、
その時の原因はマラセチア属の菌だという話でしたが・・・
炎症と痒みの原因は別にあるってことなのかな???
また、菌叢の多様性が失われることがアトピーの原因であるとも言われるので、
むやみな抗生物質の乱用は避けるべきでもあります。
さて、アトピーの原因の1つとして、菌叢との相関が明らかになったわけですが、
これはキレイな肌になる菌叢というのも存在する可能性は高いです。
敏感肌の菌叢、乾燥肌の菌叢、皮脂性肌の菌叢、
おそらく調べていけば、特徴があるのではないかと。
また、年齢によっても菌叢は違ってくるのではないかと。
つまり、老化の原因の1つでもあるのではないかと。
加齢により腸の菌叢が変わるのと同じようにね。
肌の菌叢に着目した製品は多くはないですが、存在します。
よく知られる原料はα-グルカンオリゴサッカリドかな?
ナチュセラクリームにも使われています。
方向性としては、有用菌だけのエサになるものを与え、
有用菌を増やすというもの。
この場合だと表皮ブドウ球菌を増やす作用があります。
オリゴ糖、食物繊維などの糖質系のものにそういった効果があるといわれます。
それ以外のアプローチは、悪玉菌を抑制、もしくは殺すというもの。
抗菌関連になりますね。
発酵エキスとか、培養エキスとかにそういった効果があります。
菌の生成物は他の菌の増殖を抑制しますからね。
両方合わせて、常在菌に特化したものができたら面白いかもしれませんね。
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