※セラミドは保湿成分
【馬セラミド】
動物性の天然セラミド=馬セラミドです。
セラミドに1つ糖がくっついたものをセレブロシドと呼びますので、
馬セラミドもセレブロシドと呼ばれます。
その糖がガラクトースなので、ガラクトシルセラミドと呼ばれます。
つまり、
天然セラミド=馬セラミド=セレブシド=ガラクトシルセラミド
というわけです。
ビオセラミドとも呼ばれますが、それは原料の商品名です。
①動物性だから、人にに近い
②肌自身のセラミド合成を促進する
③肌のセラミドすべての働きをカバーできる
④植物セラミドの効果は1/3、バイオセラミドの効果は1/7
①馬由来なので、同じ動物のほうが人に近いからいい、
という論調ですが、馬セラミドは非ヒト型なわけです。
さらに、糖セラミド(ガラクトシルセラミド)なので、
肌のセラミドとも違います。
そして、馬セラミドは馬の脊髄から抽出された、
神経系のセラミドなので、肌のセラミドとは性質が異なります。
②これは事実。
馬セラミドがそのまま肌のセラミドになることはありませんが、
セラミドの合成を促進するというデータはあります。
③ヒトの角質セラミドは大分類で11種類、小分類で342種類あります。
天然だから、同様のセラミドが含まれているという理屈だと思いますが、
馬セラミドは神経系のセラミドであり、肌のセラミドとは別物です。
また、繰り返しになりますが、糖セラミドであり、非ヒト型です。
④この数字の根拠は不明です。
そもそも、馬セラミドに関する文献はほとんどありません。
【まとめ】
馬セラミドの効果は、あくまでセラミド合成促進作用。
【植物セラミド】
植物セラミドを扱っているところは天然セラミドと呼びたがりますが、
ウマセラミドを扱っているところが、植物セラミドと呼ぶ傾向にあります。
ウマ同様に、糖セラミドですが、
くっ付いているのはグルコースです。
つまり、
天然セラミド=植物セラミド=セレブロシド=グルコシルセラミド
表示名はセラミドではないので、別の名前があります。
コメセラミド ⇒ コメヌカスフィンゴ糖脂質
こんにゃくセラミド ⇒ コンニャク根エキス
ヒマワリセラミド ⇒ ヒマワリ種子エキス
柚子セラミド ⇒ ユズ果実エキス
※一丸ファルコスのコメセラミドはグルコシルセラミドです。
①水溶性だから、肌への浸透がよい
②動物性よりも安心
植物セラミドの主張はあまり多くありません。
効果としては保湿効果があることが分かっています。
ただし、グルコシルセラミドなので、
直接セラミドを補うことはできませんし、
ガラクトシルセラミドのようにセラミド合成を促すこともありません。
あくまで、保湿成分です。
保湿性があるといっても、天然ヒト型セラミドとの差は歴然です。
【まとめ】
植物セラミドはコラーゲンなどと同様、保湿剤の1つです。
【界面活性剤】
セラミドは水分を挟み込み、ラメラ構造を作ります。
ラメラ構造とは、ミルフィーユみたいな感じ。
細胞間脂質に水分を閉じ込めるので、
油、セラミド、水、セラミド、油・・・(繰り返し)
となります。
これを同じようなことが界面活性剤でもできます。
親水性と親油性の2極構造を持っていれば、
近い状況は作れます。
(もちろん、保湿、バリア性などは真似できませんが)
そこで、界面活性剤を疑似セラミドとして扱うところがあります。
洗顔やクレンジング剤などで謳われています。
代表的なものは
・ラウロイルグルタミン酸Na
・ミリストイルグルタミン酸Na
・ココイルグリシンNa
・ココイルグルタミン酸Na などがあります。
当然ではありますが、保湿作用はありません。
【セラミド様物質】
セラミドを構造的に真似て作られた物質。
疑似セラミドという表現が、偽物を連想するためか、
セラミドケア成分、セラミドケア物質などと呼ばれます。
長鎖二塩基酸ビス3-メトキシプロピルアミド、ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド
花王のキュレルに含まれる、オリジナル原料。
電子顕微鏡から得られたセラミドの構造を解析し、
それを真似て作られたものです。
合成ということと、自社原料ということもあり、
8%というとんでもなく高濃度で配合されています。
肌のセラミドになるわけではなく、
セラミドのように高い保湿作用があるということと、
アレルギー反応などなく、安全性が高いとのこと。
セチルPGヒドロキシエチルパルタミド
うるおいセラミドαと呼ばれています。
スフィンゴリピッドE
最初に花王で作られた疑似セラミド。
上記2つとの関係性は不明。
ラウロイルグルタミン酸ジ(
味の素の疑似セラミド。ヘアケア商品に使われています。
セラミドは高価な原料なので、セラミドに近い成分を
安価に作り、高配合させることで、ヒト型セラミドに対抗
しようとしたもの。
保湿作用は高いが、肌のセラミドの代わりを果たすことはありません。
また、合成のヒト型セラミドも安価に作れるようになってきたので、
敢えて疑似セラミドにこだわる意義は薄れているといえます。
【まとめ】
保湿剤の1つです。保湿力は通常のセラミドに劣りますが、
高配合することで、それをカバーできます。
パッケージにセラミドと書けるのは、ヒト型セラミドのみです。
表記の仕方はセラミド1、セラミド2など数字をつける従来の方法と、
セラミドEOS、セラミドNSなど脂肪酸とスフィンゴイドの組み合わせで
表記する2通りの表現があります。
現状、日本では数字での表記が主流ではありますが、
今後はアルファベット表記になるといわれています。
合成セラミド、天然型セラミド、バイオセラミドなどと呼ばれます。
作り方は、有機合成、もしくは天然由来の
スフィンゴミエリンを含む水溶液中に、
水と混和する極性有機溶媒下でスフィンゴミエリナーゼ
作用させ、セラミドを回収といったものです。
スフィンゴエミリンを化学合成で作るか、
酵母に作らせるか、現状はこのどちらか。
どちらかを判断するすべは、消費者にはありません。
また、異性体と呼ばれるものの除去率で、
効果は全く異なってきます。
異性体とは、化学式は同じでも、構造上の異差が存在するもの。
分かり易くいえば、ヒト型と言いながら、ヒト型でないものが
存在するということです。
合成セラミドで安価なものは、通常の1/10くらいの価格のものも
存在はしますが、この異性体がそのまま含まれている場合が多いです。
残念ながら、これも我々は判断することができません。
【天然と天然型】
ヒト型でないセラミドが『天然』を強調し、
あたかもヒト型が「合成で悪い」という印象操作を仕掛けてくるので、
その対抗策として、『天然型』という言葉が生まれました。
非常にややこしい表現で、消費者に天然であることを誤認させる
との指摘があり、現状はあまり大ぴらに言われることはなくなりました。
天然型セラミドが合成セラミドの3倍の保湿力がある
とのデータがFRAGRANCE JOURNAL (10:75-83、1999)
に掲載されました。
某社のセラミドが他社で使われているセラミドより3倍の保水力がある・・・
という風に見えてしまうのですが、
これは、合成のセラミド2のヒト型と非ヒト型を比較したものです。
ちょっとややこしいですね。
イメージイラストを見て分かるように、
ヒト型セラミドとは、ヒトの肌にあるセラミドと同じだからこそ、
ヒト型であるわけです。
つまり、真ん中の合成セラミドは、ヒト型ではないわけです。
異性体というやつです。
ですから、某社のセラミドだけが特別保水力が高いわけではないので悪しからず。
天然ヒト型セラミドも似たような比較をしていますが、
こちらも合成セラミドとの比較であり、ヒト型セラミドと比較してはいないと思います。
天然ヒト型セラミドはセラミド3とセラミド6Ⅱを含みますので、
そのどちらかと比較したほうが分かり易いわけですが、
データの優位性を出すためには致し方ないことではあります。
天然ヒト型セラミドは、当初は焼酎のもろみから抽出されていましたが、
最近では醤油粕が混ざってきています。
(もしかしたら、醤油粕だけになってるかも)
【まとめ】
保水性を比較している対象は合成セラミドであり、
合成のヒト型セラミドとは一言も言っていないことがミソです。
【持続型セラミド】
一時、CMでガンガン流れていたので、
聞いたことがある人もいると思います。
実はこれ、セラミドではありません。
そのため指導が入り、現在ではセラミドケア成分となっています。
セラミドの潤いを守るための成分だとか。
たぶん、ユーカリエキスのことだと思いますが、
なんなのかボカシている感は否めません。
【肌型セラミド】
ヒト型セラミドであるセラミド2とセラミド5を
混ぜ合わせたセラミドのことを指す造語。
異性体である非ヒト型を完全に除去している
セラミドを使っているのが特徴。
肌に含まれるセラミド2、セラミド5で40%を占めることから、
名づけられたと推測されます。
2種類のセラミドで4%という高濃度で製品化している
驚愕な商品ではあります。
【素肌セラミド】
天然ヒト型セラミド+5種類の合成ヒト型セラミドを
加えたものをそう呼んでいます。
セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド6、セラミド9の5種類のセラミドを
含有しており、中でもバリア機能に最も重要とされるアシルセラミドである
セラミド1とセラミド9を含んでいるのが特徴。
アシルセラミドはセラミドを構成する脂肪酸の炭素数がC30となる
超長鎖脂肪酸となっております。
また、2種類のスフィンゴ脂質とコレステロールを含み、
より細胞間脂質に近いものとなっています。
素肌のセラミドに最も近いセラミドってのがキャッチコピー。