アトピーだと天然保湿因子産生酵素が働かない
フェラグリンを増やす物質が見つかって、
アトピーの新薬の期待が最近になって高まりました。
ただ、フェラグリンが重要であることは、
すでに分かってたことみたいです。
上図は資生堂さんから拝借してます。
2010年には天然保湿因子産生酵素を発見し、
アトピーではその発現がほとんどないことを
突きとめています。
プレオマイシン水解酵素(BH)は、
プレオマイシン(放線菌が出す抗菌物質)を分解する酵素と
して知られていましたが、
肌の表面でも活発に働き、天然保湿因子をつくります。
当然、加齢により活性は低下、
アトピーでは発現がほとんどないそうです。
その原因は炎症を誘発するサイトカインがBHの
発現を抑制するからだそうです。
つまり、炎症を抑えないと、
天然保湿因子がつくられないから、
回復しないってことになります。
逆に炎症を抑えれば、天然保湿因子を作るので、
回復方向に向かうわけです。
BHの活性が低いからアトピーになるのではなく、
炎症が起こっているからBHの活性が低いのです。
つまり、フェラグリンを増やすことで、
アトピーが改善されるのは、
フェラグリン生成遺伝子に異常がみられる場合のみであり、
その割合は5~50%と言われます。
(日本人は20%以下といわれています)
そこで、BHを活性化させる方向で
資生堂は研究しているわけですね。
候補となっているのが、
イザヨイバラエキス、トウキエキス、オウバクエキス、
オドリコソウエキス、ローズマリーエキス、
ベンゼンスルホニルGABA、エリスリトール
BH産生促進という目的では特許の絡みで
使うことはできません。
それ以外なら問題ないのか、
イザヨイバラエキスってちょくちょく見かけますね。
これはあくまで仮説ですが、
肌のバリア機能で必要なものは、
セラミド、皮脂、天然保湿因子なわけです。
アトピーではこれらが減るわけです。
ただ、セラミドが少ないからアトピーになったわけではなく、
アトピーだからセラミドが少なくなったわけです。
天然保湿因子が少ないからアトピーになったわけではなく、
アトピーだから天然保湿因子が少ないわけです。
原因ではなく、結果なのだと。
ちょっと分かりにくいですね(笑)
引き金は別にあって(それが何かはわかりませんが)
その結果、負の連鎖が起きているのはないかってことです。
炎症下ではBHが働かないのと同様、
セラミドの合成酵素も不活性化します。
セルピンb3の増加で不全角化がおこります。
火事は火を消さないと始まりません。
炎症のまま、それらを増やそうとする行為は、
火事の真っ只中で家を作り直すのに似ているのかもしれません。
作っても治しても、どんどん燃えていくみたいな?
ですから、炎症を抑えるのは必須なわけです。
場合によってはステロイドも必要でしょう。
そして、セラミドにしろ、天然保湿因子にしろ、
直接補ってやるのが手っ取り早いというか、
セラミド合成を促進するとか、天然保湿因子を促進するとか
そんな悠長なことは意味がない・・・かもしれません。
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