角質層の脂質のLC/MS分析:セラミドのプロファイリングと発見
LC/MS analysis of
stratum corneum lipids: ceramide profiling and discovery.
(J Lipid Res. 2011 Jun;52(6):1211-21. doi: 10.1194/jlr.M014456. Epub 2011 Mar 28.)
久々の論文紹介。
昔はもっとサクッと読めたのにな・・・
えらい時間かかったですわ。
内容は、角質層の脂質を高度に短時間でお手軽に解析できる方法の紹介と、
それにより新たなセラミドのサブクラスが見つかったという話。
解析方法を説明しても・・・
まあよくわからんと思いますので(私もよくわからん笑)割愛します。
分子の大きさと極性で、セラミドのサブクラス、つまりセラミド1~11を
分離同定できますよってことです。
で、理論上、セラミドは12種類あるはずだけど、
11種類しか同定されていなかったわけですが、
この解析方法で、新しいクラス、つまりセラミド12が見つかったよんと。
セラミドは3種類の脂肪酸と4種類のスフィンゴシンで構成されています。
で、図のCER[EOdS]、つまりセラミド12が健全な人の皮膚からは
見つかっていませんでした。
豚の表皮では類似型が見つかっていたのですが、
人からは見つけられないでいたわけです。
んで、この論文の方法だと、この通り、分けられますと。
A、B、*の未知の脂質のサブクラスが存在していることを示唆し、
Bがセラミド12であろうという内容。
ちなみに、縦に並んでいるのは、セラミドの小分類の存在を示しています。
セラミド3といっても、細かく分類すると沢山あるよ、という話ですね。
現状、小分類で同定されているのが342種類。
当然、もっとあるとは思いますが、同定できたのは・・・という話です。
Aの方がバンドが濃い(というかBはかなり薄い)にも関わらず、
Bだと断定したのは、Aが非極性であることがあげられています。
アシルセラミドと似たような構造を持っているが、そこから派生した
「何か」であると推測していますが、今後の研究待ちといったとこ。
その他の*に関しても、
おそらくセラミドのサブクラスから派生した何か、である可能性が高いです。
例えば、新しく皮膚から同定されたとされる1-O-アシルセラミドは、
(脳から分離はされていたが、皮膚では新規になります)
アシルセラミドから派生したものです。
これを大分類の1つ、サブクラスとして扱うか、
小分類の1つとして扱うかは、偉い人が決めることですしね。
まあ、全然別のセラミドのサブクラスがあると考えたほうが
夢はありますけどね。
さてさて、もし新しいセラミドが見つかったら、
化粧品業界で何か変わるのかって話ですが、
セラミド12を単一分離する、もしくは合成することで、
その生理活性を調べ、他のセラミドよりも優位性が
あれば、需要はあるのかもしれません。
例えば、セラミド1と同等の作用があり、
セラミド1より安価に作れるのであれば、
原料化することでしょう。
また、昨今のセラミド種類の争いから、
需要はなくはないのかもしれませんね。
その他の脂質のサブクラスも同定されれば、
より人に近い云々という話になるでしょうな。
このセラミドシリーズが先か、
培養による複合セラミドが台頭するのが先か・・・
にしても・・・
この解析で量的なものが分かるかどうかはわかりませんが、
濃いほど、山が高いほど、濃いのだと推測されますが、
セラミド2が一番多いというのが定説ですが、
3のバンドが一番濃いですな・・・
あと、7と8も意外に濃い。
これは何を意味するんだろうか?
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