意思決定には、2種類の思考システムが存在する
マーケティングの本です。
3700円って、毎度思うのですが、高い本だにゃ・・・
自分の理解のためにちょっとまとめておこうと思います。
①意思決定には2種類の思考システムが存在する
我々は常に熟考して行動しているわけではありません。
熟考する行為はエネルギー消費が非常に激しいうえ、
時間もかかります。
そのため、無意識に自動で処理してくれるシステムと、
熟考するためのシステムを使いわけています。
驚くべきことに、慎重な思考を司る処理能力を1秒当たり40バイト(bit)とすると、
自動的な思考は1100万バイト/秒に匹敵するそうです。
そのため、ほとんどの情報処理は瞬時に行われます。
広告に対する我々が意識する時間はなんと1~2秒。
その刹那な時間で興味を引かなければならないというわけです。
この自動的思考に強く働きかけるのが、ブランドなのだとか。
上図を見ると、真ん中の四角の濃淡が違ってみると思います。
しかしながら、実際の色は同じ色なんです。
これをフレーミング効果といい、
心的構造、固定概念、置かれている環境などなどで、
物の見方が変わるというものです。
商品の背景にあるものの1つがブランドであり、
商品決定に大きく作用するというわけです。
通常、購入の際には慎重的思考が介入するわけですが、
ブランドにより自動的思考で処理され、熟考することなく
購入にいたるのだそうです。
②購入判断の基本原則
購入判断の脳の論理は「実質価値=報酬-苦痛」となり、
実質価値が高まれば購入に至る可能性が高まるわけです。
まあ、人間の行動は快楽を得るか、苦痛を避けるかの
どちらかといえるので、買い物もそれに従うわけです。
そして、この報酬というのは、
あくまで期待報酬であると。
なぜなら、使ったことない訳ですからね。
この報酬には顕在的価値と潜在的価値があり、
顕在的価値とは、慎重的思考に訴えかけるもの、
潜在的価値とは、自動的思考に訴えかけるものになります。
そして、苦痛も同様に顕在的(価格)と潜在的(行動費用)が
存在しています。
ちなみに、人は苦痛を避けること、リスクを避けることのほうが
行動を起こしやすいといわれます。
例えば、「今買えば1000円お得」よりも
「今買わないと1000円損をする」というほうが売れるというわけ。
また、最終的な意思決定には比較対象が必要になり、
何と比較されるかによって、結果が異なってくる。
(これを意図的に誘導できれば、都合のよい判断へ導くことが可能になるかも)
③自動的思考システムがシグナルを知覚する仕組み
・縦長のほうが容量が多く見える
・ボトルの形、容器の豪華さで中身の評価がかわる
・足らない部分は脳が勝手に補う
・パッケージと商品はリンクする
・色は超重要
・色には暗黙の了解が存在している
・ブランドに関係するシグナル
・新しさと不変なものとを両立させる
・求めている情報への受信は髙くなる
・注目は引き出すものである
・対比で浮き上がらせる
・人の顔は特別な価値を持っている
・第六巻の価格センサーが存在する
自動的思考、つまり無意識を意識して商品設計されたものは
知覚されやすく、認知されやすくなるということ。
容器の話は非常に興味深いです。
ある商品サンプルで、ある地域だけ非常に高い評価になり、
その原因が、通常のサンプル容器が不足したため、別の容器
に入れたことによるものだったという話。
中身は同じなのに、見た目が違うと評価が変わる、
つまりフレーミング効果です。
パッケージ、デザインは商品の認識のアンカーとなるので、
ガラっと変えることはリスクです。
某ローヤルゼリーにおいて、高級感を出すためにデザインを
一新したら、売り上げが半分くらいになったということが
実際にありました。これは経験談です。
④意思決定の接点が持つ影響力
意思決定には「何が」だけでなく「どのように」提示されるかも重要。
例えば車の営業マンは高い車を最初に見せることで、
見込み客の価格への認識を変えます。
いきなり100万の車を見せられるより、
最初に150万くらいのを見せてから、100万の車を見せたほうが
同じ価格でも安く感じるものです。
強力な影響力をもたらす小さな工夫
・あらかじめスタンプを押しておくとリピートにつながりやすい
スタンプ集めはこれからではなく、すでに始まっているというフレーミング効果
・価格は数字だけが一番反応率が高い
1000円、¥1000、1000であれば、1000が一番反応率が高い
価格は苦痛であり、価格を示す記号がない方が抵抗が少なくなるわけです。
・同量であれば、プラスよりもマイナスにならないような表現を
損失回避の原則
年間20000円の節約になるというメッセージよりも、
年間20000円の損失をしているというメッセージの方が
行動を起こさせやすい。
説得力を持たせる3つの原則
1.明確性
具体的に知覚できるシグナルは何か?
報酬および苦痛を明らかにするシグナルは?
知覚価値と知覚費用のバランスを改善するシグナルとは?
2.即時性
価値と費用を具体的に認知するまでの時間と空間的距離は?
報酬は直ちに、費用は先延ばしにしたほうがよいと感じる
3.確実性
知覚報酬や損失回避ができるだけ確実なものを選ぶ
⑤購買行動のきっかけとなるもの
目標価値・・・目標を達成するために商品を買う
顕在的目標(スキンケア効果、安全性など)
潜在的目標(自信を取り戻す、楽しみ、よく見られたいなど)
潜在的目標の6つのカテゴリー
安全:世話、信頼、親近感、安全性、温かさ
楽しさ:安らぎ、解放感、娯楽
興奮:活力、楽しみ、好奇心、変化
冒険:自由、有機、抵抗、発見、リスク
自律:プライド、成功、権力、優位性
規律:正確さ、序列、理論
隣り合うものは近いものがあり、対面は拮抗します。
⑥目標と価値を結びつける
成功しないマーケティング
・マーケティング戦略が消費者の目標と整合しない
・メッセージが潜在的目標を呼び起こせない
・感情重視のマーケティング
・目的の希薄化(あれもこれも)
・好きと欲しいを混同したマーケティング
・経験・知覚できないメッセージ
まだ全然落とし込めてないですが、
マーケティングの見方を変える1冊であるとは思います。
さらに詳しく知りたい方は、書籍を手に取ってみてくださいな。
コメントをお書きください