界面保持剤による新たな乳化技術
化粧品開発展という、東京ビックサイトでおこなわれた展示会に行ってきました。
かなり賑わってました。
その中で特にすげーな、と思ったのが東洋新薬が出してた
「三相乳化法」
こちらは神奈川大学が特許を取っている技術(特許第3855203号)
通常、乳化には界面活性剤を用いています(a)
しかし、三相乳化法ではナノ化粒子のファンデルワールス引力を利用します(b)
ファンデルワールス引力とは簡単にいえば、分子同士が引き合う非常に弱い力です。
特徴としては
①1つの界面保持剤でよい
水に油を乳化させる場合(O/W型)、油に水を乳化させる場合(W/O型)、
使う界面活性剤は変えなければなりません。
また1種類では安定性がないので、2、3種類使う場合が多いです。
しかし、三相乳化法では1種類の界面保持剤だけで、
O/W型、W/O型どちらも対応可能で、1種類だけで高い安定性を保持します。
②安定性が高い
希釈しても、アルカリ、酸だろうと、
長期安定性を確保できます。
また、大きな粒子にしても安定しますので、
液体中にソフトカプセル化させることもできます。
そして、三相乳化を使うメリットは
①浸透性が高い
球体ラメラ構造を形成しており、これは肌の保湿構造と同じで、
非常に親和性が高くなります。
②べたつかない
浸透性が高いので、油分が高い形状のものでも、
全然べたつかないという不思議なテクスチャーを実現します。
③界面活性剤フリーが可能
合成界面活性剤フリーというのが、現状の妥協点でしたが、
完全に界面活性剤不使用のクリーム、ジェルを作ることができます。
何かと悪者扱いの界面活性剤ですが、
それを使ってないと謳えることは、かなりのアドバンテージになります。
コスト的にも、界面活性剤を使う従来の処方と大きな差はないとの
ことなので、皆、飛びつきたいのは山々なのですが、
懸念材料がないわけでもないってとこです。
界面活性剤を使用していないので、安心と言えば安心なんですが、
三相乳化に使われる界面保持剤は本当に安心?ってとこです。
おそらく安全でお肌に優しいとは思いますが、
実績がないので、二の足を踏んでしまいます。
もう少し、市場に商品が出回ってから考えてもいいかな?
という感じですかね。
先行者利益を狙って・・・というところも少なからずあるでしょうから。
界面保持剤は詳細はよくわかりませんが、
ポリマーを最小単位まで分解したもので、水にも油にも溶けない、
ナノサイズの粒子なんだとか。
もちろん、この三相乳化法はすごく魅力的な提案でありますが、
一番驚いたのが、三相乳化法を使えば、セラミドを簡単に溶かせるということ。
見せるためのサンプルで、
セラミド3を4%配合したものをデモサンプルで作ってました。
セラミド2は、まあヒフミドとか色々なとこが4%やってますが、
セラミド3ですよ?
「マジか~」って何回言ったことか(笑)
なんと8%までは確認済みなんだとか。
原料メーカーがこの技術を応用してくれれば、
界面活性剤が入っていない、セラミド溶液ができますな・・・
三相乳化法によるところも大きいのだとは思いますが、
セラミド3 4%は圧巻でした。
極みも、たいがいな商品ですが、
その上を行ってます。
塗った瞬間、セラミドが増えたのが実感できますから(いや、マジで)
実際に比較したデータがある訳ではありませんが、
経験則で、セラミドの効果は
セラミド1>>>セラミド6>セラミド3>>セラミド2
といった感じです。
価格もそれに比例しているように思います。
また、複数種類を入れれば確かに効果は高くなりますが、
何十倍にもなるわけではないですからね。
圧倒的な濃度の前には、敵わないっす。
セラミド2でやってたら、「ふーん」で終わったと思いますが、
セラミド3でやってたからビックリしたわけです。
そして使ってみて、さらにビックリ!!
他のブースで化粧品の商品を展示してあるところも沢山ありました。
それこそ、1個1~2万の商品で、いろんな美容素材を使ってます。
セラミド3 4%の前では、どれも霞んでしまいました。
三相乳化法を使った、セラミドをただただ補充するための商品作ろう。
という新たな野望ができました。
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