サーファクチンNa再び

天然の界面活性剤 サーファクチンNa

三相乳化を試みたいところですが、やっぱりロットがデカい。

現実的ではないので、再度サーファクチンNaに注目してみました。


サーファクチンNaは枯草菌の発酵物から抽出した物で、

環状ペプチド構造を有するかなり複雑な界面活性剤です。


改めて調べてたら、サーファクチンNaのネガキャンが!

おいおい、誰だよ・・・と思ったら、またお前かよ!小澤・・・



さてさて、このサーファクチンNaについてなんとおっしゃっているかというと、

サーファクチンNaはアミノ酸系洗浄剤のラウロイルグルタミン酸Naよりも界面活性がずっと強く、

洗浄力が非常に高く、皮膚のバリアを壊す・・・のだそうな。


断言しよう。

こんなこということは、サーファクチンについて何も知らないし、

調べてもいないであろうことを。

 

まず、なぜ洗浄力が高いという話になったのかというと、

サーファクチンNaは臨界ミセル濃度(CMC)が非常に低いです。

何と0.0003%

よくわからんですよね。



界面活性剤も水に溶けます。

1分子である程度溶けるわけです。

ただ、その1分子で溶ける限界値があり、それを超えるとミセル化します。

ミセル化とは、界面活性剤が集まって球体を作った状態。


で、この臨界ミセル化濃度とは、

界面活性剤がミセルをつくる最低限の濃度ってことで、

これ以下だと界面活性剤としての働きをしないので、

界面活性剤を使う時はこれ以上の濃度が必要というもの。


サーファクチンNaのCMCはレシチンの1/3000、

SDSの1/300、ラウロイルグルタミン酸Naの1/100


まあ、単純にラウロイルグルタミン酸Naの100倍、

界面活性が高い、だから危険!って話になってるのだと思います。



そもそも、なぜCMCの数値が低くなるかというと、

サーファクチンNaの構造に秘密があります。

こちらがサーファクチンNa

7つのアミノ酸が環状になっています。

親水部なんですが、かなり大きいです。

(界面活性剤としては)


そもそも、この数値で危険とか安全とかいうのであれば、

ラウロイルグルタミン酸NaよりもSDSのほうがお肌に優しいってことになるんですがねえw

もちろん、そんなわけはないです。

通常の界面活性剤は左図のようになるのですが、

サーファクチンNaは右図のようになります。


環状ペプチドが大きいうえ、水素結合をするので、

少ない数でミセル化してしまうというわけです。


で、実際に洗浄力があるかというと、スゲー弱いです。

実際、かなりの攪拌をしないと乳化すらしねー。


原末100%を手に付けて濡らしても、ヌルヌルすらしないです。


ちなみに皮膚刺激性は2.5%までは無刺激。

20%でもラウロイルグルタミン酸Naの約1/16の刺激しかないです。

(ラウロイルグルタミン酸Naでもマイルドといわれているくらいです)


現実問題、そこまでの濃度を使う必要はありません。

CMCが低いということは微量でOKということなんですから。


まあ、刺激云々よりもさ・・・

ホントに乳化するのかな?って方が心配なわけですが。



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2014年11月19日 - サーファクチンNa

2014年10月27日 - カネカ・サーファクチン

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