PGは危険なの?
お客様から「プロピレングリコール(PG)は危険なの?」というご質問を受けました。
そういう声があったということは、そう思っている人も少なからずいるのかな?
と思い、一応解説しておきましょう。
基本的な立場として、現代人は全ての物質でアレルギーを起こす可能性があり、
そのために絶対に安全なものはないと考えています。
もし、アレルギー反応があるのであれば、それは体質ですので、
アレルギーのある物質は避けるべきです。
(体質改善は時間がかかります)
逆に、アレルギーがないなら、そんなに気にする必要はないと考えています。
PGが危険だって思ったのはこの写真なんだとか。
PGの原液は劇薬で、こんな格好で取り扱わないといけないんだって。
・・・いや、製造の立会にいったけど、
こんな人、見たことないですよ?いや、ホントに。
(PGの原液は当然、化粧品製造メーカーも扱う訳ですが・・・)
まあ、一番の不安の原因は「経皮毒」なんでしょうね。
すべてはここから始まってます。
バイブル商法は通常、「この成分すげーぜ」って内容のものが主流だったのですが、
これはその逆で、「この成分は恐ろしい」というネガティブな内容で、不安を煽る
新しい手法の成功事例として有名。
(まあ、これを使った会社は捕まってますが笑)
それでもなお、ここまで普及しているのは、
デトックス商品を売るのに、非常に都合が良くて、使い勝手もよい本だからです。
本に書かれているってだけで、みんな信じてくれますからね。
不安を煽れと言われれば、ペラペラしゃべれるくらいには熟読してます(笑)
その中でPGが危険って話が載っています。
なんでもPGは物質の運び屋で、PGがあれば、
どんな物質も浸透させることができるんだとか。
まあ、角層の内側までは浸透させる力なんてないねんけどね。
あれば、ナノ化とかリボソーム化とかわざわざしませんって。
PGに限らず、BG、グリセリンなどの溶剤を高濃度で使えば、
たんぱく質、つまりケラチンの結合が緩んで、水分が浸透しやすくなります。
まあ、普通はそんな濃度では使いません。
PGがあればフリーパスで体内へ浸透できるというのは、
残念ながら幻想ですよね~
ちなみに、PGに対して稀に過敏症状(アレルギー)を起こすことがあるというのは
事実ですが、もちろん、PGだけに限った話ではないです。
で、染色体異常を起こす可能性があるとのことですが、
ハムスターの繊維芽細胞を使った実験で陽性であったとの報告がありますが、
異常に高濃度での条件下であり、適切な実験ではないといわれています。
ヒトリンパ球を使った実験では陰性であることから否定されています。
過剰に摂取すると赤血球の減少(口から取る話を持ち出すところがもうね・・・)
マウスに2000mg/kg摂取した時に見られたのだとか。
60kgの男性だったら120g毎日食わせたって感じですが、
そんなにとったら、そらヤバいでしょ。
ちなみに、食塩3000mg/kgで急性毒性(LD50)が見られるわけですから、
お前は塩並にPGを食うのかって話です。
ちなみにPGの急性毒性は20000mg/kgくらいです。
内臓や脳への蓄積を招く(これも経口摂取の話なんですが)
通常の炭水化物と同様にエネルギー源として使われるそうです。
イヌとネズミに2年間、PGを与え続けたが、慢性毒性はなく、
各臓器にPGの蓄積は見られなかったとの結果がでています。
えーと、経口からはほとんど排泄されるけど、
経皮吸収の場合は蓄積されるって話だったかな?
10日で経口吸収は90%排出されたのに対し、
経皮吸収では10%しか排出されない・・・との主張ですが、
この根拠になっているのが、サリチル酸の実験。
サリチル酸が経口投与だと24時間以内に全量が尿で排泄されたのに対し、
塗布した場合は、数日間にわたり尿から検出されたそうです。
皮膚から吸収されたものは、排泄されたものが僅か10%しかないの、
他は蓄積しているんだ!というわけです。
さて、あなたはこのトリック、わかります?
まず、経口投与した場合は100サリチル酸を取った場合、
体内へは100入るわけです。
では、皮膚へ100塗布した場合は?
そう、100入る訳がない。
そして、塗布・・・これはシップでなんですが、
当然、継続的に貼ったまま。
そりゃ、数日にかけて検出されるってわけ。
この10%排出されたという真相は、
1%吸収されて、1%排出され、
10日間で10%となるわけさね。
そもそも、皮膚は排泄器官と言われるくらいなんですよ?
その皮膚から入った物が、口から入れた物より蓄積されるって
んなわけはないです。
ミスディレクションしているうえに、
だからすべての物質が体内に蓄積するという
理論の飛躍までもみせてくれるわけですが、
んなもの、信用に値します?
脳に蓄積ってのもないない。
ただ、経皮吸収は確かにあるのは事実。
もちろん、何でもかんでもってわけではなく、物によりますが。
危険な物質もありますが、それらをすべて一緒くたにして
語るのはナンセンスかと。
あと、物質の危険性を主張するのに化学物質等安全性シート(MSDS)を
持ち出す人がいます。
そもそも、MSDSは何のためにあるかというと、
その原料を使って、問題が起こらないように情報開示すると共に、
何か問題があったら、「ちゃんと書いてあったでしょ?」といえる
ようにして、原料メーカー側に責任転換できないようにするためです。
そりゃもう、厳しく書いてありますよ。
しかも、原液でのデータですからね。
例えばPGの刺激性ではヒト 500mg/7d
つまり500mgのPGを7日間つけ続けたら、刺激性があったということ。
ちなみに、私の手元にあるPGのMSDSには刺激性、腐食性、眼刺激性は陰性と
書いてあります。
同じ原料でもMSDSはメーカーにより違いますが、
これは原料の安全性の差がでるのではなく、
会社のリスク回避の度合いの差がでるだけ。
低刺激性があるとした原料メーカーの方が、
リスク回避しているというだけの話。
だって、同じ物質なんですから。
まあ、こんなこと書いてると、正当化してる云々言われるかもですが、
PGがダメだって人は、BGがダメって人と同じくらい少ないので、
その心配はないか。
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