界面活性剤を使わない化粧品
界面活性剤が悪者扱いされる昨今のニーズに合わせてなのか、
展示会では石鹸乳化のスキンケアの提案を多く目にしました。
一応、界面活性剤不使用を謳えるんですよね。
まあ、混ぜるときに界面活性剤ができて乳化するので、
界面活性剤が入っていないってわけではないのですが。
(あくまで不使用ですから)
強アルカリ+脂肪によって、鹸化と呼ばれる反応が起こります。
アルカリ成分としては、水酸化ナトリウムか水酸化カリウムが使われます。
どちらも水に溶かすと強アルカリになる劇物です。
水酸化ナトリウムを例にとると、水中でNa+とOH-に分かれます。
強アルカリによって、脂肪はグリセリンと脂肪酸にばらけ、
Na+と脂肪酸が結合します。
ナトリウムの部分は水に溶け、脂肪酸のほうは油に溶けるという
界面活性剤の構造になり、これによって乳化するというわけ。
水酸化ナトリウムは固くなり、水酸化カリウムは固まらずクリーム状になるので、
水酸化カリウムを使うことになります。
化粧品の表示でも水酸化Kというのは割と見かけるのではないでしょうか。
pH調整と同時に乳化剤としての機能もあるわけです。
そもそも、肌は弱酸性なのでpH調整剤としてクエン酸を使うのはわかりますが、
アルカリに傾ける水酸化Kは、やはり乳化が本当の目的なんだと思われます。
まあ、確かに合成界面活性剤ではないのかもしれませんが・・・
いくら石鹸がお肌には優しいとかいうイメージがあるとしても、
それはあくまで洗顔剤としてのイメージであって、
これだと石鹸を塗るというイメージを抱かれかねないわけで、
石鹸を洗わずに放置するってのは、いささか不味いような気がしてしまうんですよね~
大丈夫なように処方しているとは思いますけど。
そもそも、乳化してしまっている界面活性剤には活性はなく、
洗顔料で言われているような脱脂力はないです。
この石鹸乳化のクリームを泡立てようと思っても、泡は立ちません。
・・・と説明してしまうと、石鹸乳化の必要性が薄れてしまいますので、
とにかく「合成界面活性剤は悪いものだ、これは合成界面活性剤を使ってないんだ!」
というような論調になっていくのは仕方がないことかもしれませんね。
オーガニック系の化粧品、無添加系の化粧品に好んで使われています。
もちろん、石鹸を目の敵にしているような人も結構いるので、
石鹸乳化も毛嫌いしている人も少なくはないです。
元々は古い処方で、界面活性剤の技術や安全性が低かったころに
でてきたもの。決して悪いものではないのですが、
時代を逆行している感はあります。
ただ、昨今の情勢から、増えてくるのかな~とも思わなくもないです。
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