カニ・エビの甲羅由来の繊維にアトピー抑制効果
カニやエビの甲羅からとれるキチンという線維質ですが、
これを脱アセチル化することでキトサンになります。
また、塩酸と反応させて加水分解することでグルコサミンになります。
キチンはすでに人工皮膚や手術の結合糸にも使われています。
意外にカニの甲羅って色々と使われているんですね~
さて、鳥取大から3月30日、カニ・エビ殻を原材料とする
極細繊維であるキチンナノファイバー(キチンNF)の塗布によって
アトピー性皮膚炎が抑制されることを確認したと発表がありました。
キチンNFはカニ殻の主成分であるキチンをナノファイバーとして取り出したもので、
幅が約10nmの極細繊維。
オンライン科学誌「Carbohydrate Polymers」にて掲載されたそうです。
ちょっと原文がみつけられませんでしたので、こちらが似たような内容になるのかと。
『カニ殻より単離されるキチンナノファイバーの生体に及ぼす効果・効用の探索 』
(今回の実験の前段階のものになると思います)
皮膚に酸性の液体でダメージを与え、そこにキチンナノファイバーを塗って、
どうなるかって実験をした結果、キチンナノファイバーのほうが回復が早かった
というような内容です。
保湿効果、傷の修復促進効果などが確認されたわけですが、
アトピー性皮膚炎にはどうかというのが今回の発表です。
アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた実験で、キチンナノファイバーを塗布した結果、
アトピー性皮膚炎の症状の進行を抑えられ、かつ皮膚の炎症の進行も抑えられることが確認そうな。
ただのキチンではこのような効果は見られず、
ナノファイバーという形態が皮膚のバリア機能の向上を可能にしているのではないか?
とのこと。
キチンナノファイバーがバリア機能の高い膜を形成することで、
外部からの刺激を防ぐことができ、
それにより炎症などの免疫反応が抑えられたと考えられます。
被膜形成の原料はいままで色々でています。
ヒアルロン酸もその1つですし、最近だとリピジュア(ポリクオタニウムー51 )
がよく使われますね。
いわゆる合成ポリマー全般もそういった被膜形成の素材になります。
キチンナノファイバーもポリマー系の素材です。
今後、化粧品の原料として使われることになるであろうと思われますが、
リピジュアのようにいろんな化粧品の原料として使われるのか、
それともワセリンのような単体で使われるようになるのか、
はたまたその両方か・・・
キチンは割と安い原料なので、ナノファイバー化が
どれだけ特殊な加工かはわかりませんが、
扱いやすい価格になるんじゃないかなー
(希望的観測ですが笑)
何はともあれ、今後注目の素材です。
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