サプリにおけるナノ化

サプリメントにおけるナノ事情

化粧品に関しては、ナノ化という言葉はお馴染みって感じになってきていると思います。

まあ、多くの人の認識は「凄く小さいもの」って感じだとは思いますが。

 

化粧品ではナノナノ言っていますが、サプリメントではあまり聞かないと思います。

その辺の事情を説明していこうと思います。

 

ナノ化するには・・・?

ナノ化といっても、まあ色々な方法があります。

まずはそこから簡単に説明していこうと思います。

 

①リポソーム化

細胞は細胞膜に覆われて原型を保っているわけですが、

細胞膜はちょっと特殊な構造になっており、リン脂質二重層と呼ばれる構造になっています。

これを応用したのがリポソーム化ってなわけです。

 

普通の界面活性剤は内側に不溶性部が集まり、外側に水溶性が外側にくることで

ミセルと呼ばれる球体を作ります。

(水分が多い状態の場合の話です。油が多い状態なら逆になります)

 

で、生体膜をつくるリン脂質やレシチンなどは、

二重膜を作る性質があり、内側に水分を内包した状態を作ります。

これがリポソームと呼ばれるものです。

 

この大きさは25~1000ナノメートルであり、

この中に成分が入れば、めでたくナノ化成分ということになります。

 

作り方はリン脂質やレシチンなどの生体膜を作る界面活性剤を、

ナノ化させたい成分を溶かした液体に大量に入れて、

高圧力をかけることでできます。

 

化粧品で使われているナノ化原料のほとんどは、このリポソーム化だと

考えてもらって、差し支えないです。

まあ、リポソーム化は医薬品にしか使えないワードなので、

旧薬事法対策としてナノ化って言葉が使われるようになりました。

 

で、これをサプリメントに応用するにあたって、大きな問題があります。

まず、リポソームって水溶液中であるからこそ、成り立っているわけです。

これを粉末にすると、膜構造はぶっ壊れてしまいます。

イメージとしては、水風船みたいな状態なので、そこから水分を抜いたら

どうなるかってのは容易に想像できるかと。

 

つまり、粉末にできないので、カプセルや錠剤には不向きというわけです。

 

 

②シクロデキストリン

環状オリゴ糖の一種で、真ん中に穴が開いています。

平たくいえば、穴の開いたリポソームのようなものをイメージしてもらえばいいかな?

リポソームは脂質でできていますが、こちらは糖でできてるって違いがありますが。

 

この穴はナノサイズで、ここにナノ化したい成分がはまり込めば、

ナノ原料の完成ってわけです。

作り方は簡単で、水にシクロデキストリンと有効成分入れて、

よーくかき回せば完成です。

 

ただ、シクロデキストリンに対し、有効成分は1~5%程度しか入りません。

つまり、原料としたとき、100mg配合したとしても、

有効成分は1~5mgということになります。

 

このナノ化で吸収量が何倍にも跳ね上がるならいいのですが、

2、3倍程度なら、2、3倍とればいいんでない?という話にもなります。

 

 

③物理的にナノ化

粉末の粉は、ある程度固まった団子状態になっています。

これを振動や破砕によって、物理的に細かくする手段です。

粉末の粒子をナノサイズにするってわけ。

 

まあ、これによって、どれだけの違いが生まれるのかはよくわかりませんけどねー

 

 

④ペプチド化

厳密にはナノ化ってのとは違いますが、

酵素処理や発酵によって分解されることで、分子量は小さくなります。

 

特にタンパク質はアミノ酸が連なる巨大分子ですが、

酵素によって、分解することでアミノ酸まで分解可能です。

 

ただ、アミノ酸をナノ化原料っていうのは違う気はします。

ナノコラーゲンとか、ナノプラセンタとか謳っているものは

大概これになります。(サプリの話ね)

 

で、このサイズが小さくなって、吸収云々ってのはあまり重要ではなくて、

アミノ酸が2個、もしくは3個でできたペプチドに高い生理活性があるため

いろんな原料のペプチド化が試みられています。

 

 

さて、化粧品ではあれだけ盛り上がっているナノ市場。

ぶっちゃけ、サプリ市場では冷ややかです。

 

その最大の理由として挙げられるのが、某ブルーベリーのナノ化が原因であると

考えられています。

 

ナノ化することで、吸収力が2倍!というような触れ込みだったような気がします。

その商品の発売当時は、結構センセーショナルで、ナノの時代が来る!と

各方面で躍起になったものですが・・・

 

これをエサに、ナノ化サプリ作りましょうよ~的な営業をかなりした記憶はあります。

 

まあ、これが爆発的に売れれば、各社追随したはずなんですが、

残念ながら市場を動かすほどのものではありませんでした。

 

一番の要因は、すでにブルーベリー市場のプライスリーダーであり、

新規顧客の頭打ちの状態であったわけです。

(これを機に、商品ラインナップを急速に増やす方向性に舵をきりました)

 

ただ、その結果として、ナノっていうものに訴求効果があまりなかった

のではないか?と見た企業は多かったわけです。

まあ、実際にナノ化ってのが消費者に強いインパクトを与えるかというと、

答えはNOでしょうけどね。

 

ナノ化によって、効果に劇的な違いを出せればいいのですが、

正直、大きな変化は期待できません。

 

というわけで、ナノ化に対しては消極的にならざる負えないんですわ。

 

まあ、もしかしたら、革新的な技術が見つかり、

どこもかしこもナノ化ってな時代がくるかもしれませんが、

可能性はかなり低いと思っています。

 

 

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