化粧品における「発酵」の可能性について
私自身、専攻が植物病学だったので、微生物になじみがあるってのもありますし、
発酵エキスを長いこと販売もしてました。
発酵エキスを独自原料として作ることもしてきました。
そのため、発酵ってのにはなじみがあり、
発酵物に対して、かなり好意的です。
なんか、最近、発酵液ばかり買っており、趣味全開です(笑)
シカクマメ発酵エキス、酢酸菌発酵物、豆乳発酵液と続いてます。
まあ、良い買い物をしたと思ってはいますがね。
どれも想像していたよりも、ずっといい。
「発酵」とは?
発酵の定義は微生物、もしくは酵素によって、新たな有用物質を作ること。
有用物質とは人間にとってであり、人間に害になるものができる場合が腐敗といいます。
酵素処理したものでも、発酵と呼ぶことができ、
例えば、プラセンタを酵素処理することで、新しい機能性物質ができれば、
発酵プラセンタと呼ぶことができます。
発酵ローヤルゼリーだとか、発酵高麗人参なんかは酵素処理によるものですね。
ただ、やはり微生物によって発酵するものほうが一般的で、
酵母、麹、乳酸菌などがよく使われます。
発酵物は結局何がよいの?
化粧品原料として、発酵液、もしくは発酵エキスは、
正直、何が効いているのかよくわかりません。
培地の原料が微生物によって、細かく分解されたとか、
ペプチドが豊富に含まれるとか、ビタミン、ミネラルが豊富だとか、
菌特有の拮抗成分がいいのだとか、生命の素が詰まっているとか・・・
まあ、色々言われるわけです。
厳密に●●って成分が効くと同定されているのは稀です。
丸っと全て、有用成分という捉え方をします。
そうですね・・・
納豆って何がいいのか?
今でこそ、ナットウキナーゼが血管の血栓を溶かして血管疾患の予防になるとか、
ポリアミンが豊富に含まれていて、代謝を活性化してくれるとかいわれますが、
納豆丸ごと健康食品なわけです。
ナットウキナーゼだけ抽出すれば、ポリアミンだけ取り出せば、
特定の効果は高まります。
しかし、それは納豆のほかの良さを切り捨てるのと同じことなんです。
ヨーグルトは体にいいといいますが、
確かに乳酸菌云々って話もできますが、
やはりヨーグルトそのものが体にいいんです。
まあ、何が効いてるのかわからんのは認めん!
という人もいるかもしれませんが、個人的には効けばいいんじゃない?
と思っています。学会の発表じゃないんだからさ。
むしろ、人の手では決して作ることができない、
複雑な美容液を作っているのだと考えればいいんでないかな?
例えば、天然ヒト型セラミド。
これは焼酎や醤油の発酵粕内にいる麹菌によって作られますが、
あれだけバラエティに富んだセラミドを作るのは合成では不可能です。
もちろん、バラバラに作って、それを足し合わせることも
現状では不可能です。
これは天然ヒト型セラミドを取るために、抽出、精製してますが、
発酵液は、ここでいう発酵粕をそのまますべて使うってことなんです。
ヒト型セラミドの濃度は微量になってしまいますが、
各種アミノ酸、ペプチド、有機物が非常に豊富に含まれており、
様々な機能性が期待できるというわけです。
これをあれこれ混ぜて作るなんて不可能ですし、
可能だとしても莫大なコストがかかります。
発酵物は危険?
正直、発酵物は何が含まれているかってのは、すべてを把握することはできません。
原料、菌を混ぜて作るわけですが、発酵によってできるものは、
全然別物になってでてくるわけです。
非常に複雑な有機物の集合体であるのは間違いありませんが、
その成分をすべて把握するのは不可能です。
何があるかわからないものを使うのは危険だ!
なんて考える人もいるかもしれません。
ただ、発酵エキスの原料化ってのは、
通常の原料よりも遥かに難しいんですよ。
何ができるかわからないからこそ、安全への担保はでかいんです。
毒性がないかの試験は通常よりも厳しく、
簡単に登録してもらえません。
安定性がないとダメなので、何度も何度も試作しますし、
大量ロットでも製造テストも回数を重ねないといけません。
まあ、よくやるよなーってのが正直なところです。
何が言いたいかというと、中途半端なものは、
日の目を見ることはないってことです。
今、実際に出回っているものは、満を持して世にでてきているわけで、
普及する可能性があると思って出してきているんです。
今後、凄い原料ができるとしたら、
もはや発酵しか手はないのではないか?と思っています。
もうだいたい出尽くしてるって感じはありますしね。
発酵の組み合わせはまだまだ無限にあります。
発酵ってのは夢があり、ロマンがあると思うんですが、
如何でしょ??
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