運動ホルモン イリシン

期待の新発見ホルモンの今・・・

2012年1月に発表されたハーバード大学医学部の研究によって、

運動をすることで特定のホルモンが増加し、それが新規で見つかったホルモンでした。

そしてそのホルモンが脂肪を燃焼させる役割を持っていることが分りました。

 

このホルモンはギリシャ神話の女神イリスにちなんでイリシン (Irisin)と名づけられ、

「運動不足」を解消するための鍵になるかもしれないと注目を集めました。
ちなみにイリスは虹の女神です。

 

しかしながら、3年後にはイリシンに科学的根拠はないとの発表がありました。

内容をざっくりいうと、イリシンを検出するキットに不備があり、

イリシン以外のタンパク質にも反応してしまうようなものだったことが判明。

イリシンを過剰に評価していた可能性が高い、つまり、当初の発表ほど、

イリシンに効果はないんでない?ってことです。

 

まあ、これはそもそも実験方法に不備があることを指摘しているわけで、

イリシンの存在を否定するものではないんです。

それからさらに1年たった今、どうなっているのか気になったわけなのであります。

 

 

イリシンに何を期待したのか?

さてさて、このイリシンの発見により、人々は何を期待したのでしょう?

まず、脂肪には2種類あり、褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞。

 

褐色脂肪細胞はすぐにエネルギーとして使える脂肪を蓄えており、

運動などによって、燃焼される脂肪です。

 

白色脂肪細胞は、蓄積を目的としたもので、簡単に燃えません。

お腹周りについた皮下脂肪とかはこれですね。

だから簡単に落ちないわけです。

 

で、イリシンはこの燃えにくい白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞のように

燃えやすくする働きがあるといわれています。

 

そして、運動するとイリシンは増え、

運動する人ほど痩せやすいというのは、このホルモンの作用のためだ

などといわれたわけです。

 

 

さらにネズミにイリシンを注射した結果、

運動したのと同じ作用が見られたとの結果がで、

将来的にはイリシンにより薬やサプリなんかで運動不足

が解消される時代がくるのではないか!?と期待をよせたわけっす。

 

生活習慣病のほとんどは運動不足が原因。

でも運動はなかなか難しいですが、飲むだけで生活習慣病を予防できるのなら、

多くの病気はなくなり、薬も減るし、医者に通う必要もなくなり、

医療費の大幅節約ができるわけです。

 

もし仮に、本当にイリシンの効果があり、

経口投与が可能となったのなら・・・

 

多くの製薬会社がつぶれ、多くの医師が仕事を失うことになりかねないくらい

のインパクトがあるわけです。

 

生活習慣病の患者にお医者さんがなんていうかご存知です?

「食事制限して、運動しろ」

まあ、言い方はさまざまでしょうが、この2つは必ず言われます。

 

多くの人がそれを実行できないから、病気になっているわけで、

結局はお医者さんに通い続けることになります。

 

しかしながら、イリシンがあれば、生活習慣病を克服することが

できちゃうかもしれないんです。

 

 

まあ、イリシンだと思ってたのが、実は別のタンパク質をみていたかも・・・

ってことで、ケチがついたわけですが、新しい検出方法も模索され、

研究は現在も行われています。

 

一応、ヒトでもイリシンに脂肪細胞の褐色化作用があることは確かみたいです。

まあ、まだまだヒト臨床試験までの道のりは遠く、

本当に夢のホルモンであるかどうかの結論がでるのも、

まだまだ時間がかかりそうです。

 

 

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