高濃度すぎると水分がぬける!?
とある化粧水が「見て、この色!この色こそが高濃度の証なんです!!」
みたいなことで、高濃度化粧品を謳っていたわけです。
うちも似たよーなこといってたな~
(高濃度とは言えないけどさ、薬事的に)
で、ご質問をいただいたんですが、
「高濃度ほど、浸透圧の関係で浸透しやすくなるんですか?」
うーん、逆の質問ならわからなくもないんだけどね。
「高濃度ほど、浸透圧の関係で水分がぬけるんですか?」ってね。
浸透圧ってのは、濃度の異なる溶液を半透膜で仕切った場合にかかる圧力のこと。
浸透圧によって、濃度の低いほうから高いほうへ水が移動し、最終的には同じ濃度になり、
圧力が均一化されます。
生体膜も半透膜にあたり、高濃度の食塩水に菌をつけると、
菌の水分が外に漏れて、菌は死にます。
果物や野菜を塩漬けや砂糖漬けにすることで、
水分が外に抜け出します。
つまり、肌細胞の溶液よりも濃い化粧水をつけた場合、
水分が細胞からでていくのでは?という疑問がわいてもおかしくないかなーと。
まあ、浸透圧って言葉は知っているし、どっちかに流れるのはわかっていると思うのですが、
どっちの方向にってのは正確には覚えていない人のほうが多いんでしょうね。
さて、ここからが本題なんですが、
細胞の濃度は食塩水0.9%と同等くらいといわれます。
つまり、これ以上の濃度だと、逆に水分がぬけていく・・・のでしょうか?
まず、真水に浸かった場合は、わかりやすいところでは、
長風呂した場合、手がふやけます。
浸透圧の低い風呂の水が、体内へ入ってくるわけです。
また、色々混ざっている温泉だと、手がふやけにくいです。
たまの温泉、元を取るまで入ってやろうと、いつもより長風呂に
なると思いますが、手がふやたって経験はないのではないでしょうか?
余分な水分を出すために、海水くらいの塩を溶かして入浴するという健康法もあります。
海水療法といって、海水に浸るとアトピーの症状が緩和されるともいわれます。
つまり、どういうことかっていうと、
たとえ、濃い濃度の化粧水をつけたところで、
水分が大量に流出して、乾燥肌になるってわけではないみたい。
そうでなければ、海水浴なんて恐ろしくてできないですからね(笑)
(まあ、何日か浸り続ければ、話は変わってくるけどね)
だからといって、高濃度だから浸透が良いってわけでもないです(残念ながら)。
その辺はどちらかというと、基剤の性質に依存していますよね~。
もっとも、化粧水で0.9%なにかが溶かしこんであるってことは
まずないです。
うちのローションでもそこまではいかないかな?
化粧品原料の原液が1%のものが多いですが、
これでもほとんど浸透圧の影響はないですから、
普通に化粧品を使う場合は、浸透圧云々ってのは気にする必要はないと思いますよ。
余談ではありますが、ナチュセラローションの試作初期の段階は、
現行品の濃度の10倍配合していました。
結論としては、あんまりよろしくなかったわけです。
過ぎたるはなんたるや。適度な濃度ってのがあるわけです。
また、実際に水分を奪う場合もあります。
ヒアルロン酸の高濃度品を直接つけるだとか、
グリセリンの原液をつけるとかね。
ヒアルロン酸の高濃度ってのは、価格の問題でまずありえないと思いますが、
グリセリン原液をつけるってのは、ないこもないかな?
ホットジェルとか、水を使わないからって代わりにグリセリンを入れていると、
そんな商品もたまにありますからねー
これは浸透圧というより、これらの水分保持作用によりところが大きいかな。
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