シンエイク（ジ酢酸ジペプチドアミノブチルベンジルアミド）

まず、ボトックスについて説明しておきます。

ボトックスといえば、今ではシワとり注射のイメージが強いです。

ボトックスはボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素（ボツリヌストキシン）

を注射することで、筋肉を弛緩させ、シワを取ります。

ボツリヌストキシンは非常に強力な神経毒で、自然界最強の毒素と呼ばれています。

僅か500ｇで地球上の全人類の致死量に相当するとか。

これは青酸カリの20万倍に相当します。

その為か、生物兵器として研究され、フセイン政権下のイラクには19,000ℓの

ボツリヌス毒素を保有していたとか。（今は破棄されていることになっている）

また、某カルト集団がボツリヌス菌を培養して、何度か散布したとか・・・

（幸い、被害はでていないそうですが）

また、ハチミツを赤ちゃんに与えるなってのもボツリヌス菌の胞子が

ハチミツには存在しており、赤ちゃんは免疫が弱いので、ボツリヌス菌が

増殖してしまうからなんです。

なかなかおっかないものですから、ボトックス注射ってのは

躊躇われる人も多いです。実際、顔面麻痺になってえらい事になった

って話もよく耳にします。

さすがにボツリヌストキシンを塗ろうというのは、

恐ろしいというか、危ないので、別の毒で代用できないか？

そんな発想で出てきたのが蛇の毒。

蛇の毒も同じように神経毒なので、筋肉を弛緩させる作用があります。

で、ようやくここから本題になります。

さすがに蛇毒をそのままってのはイメージが悪いし（ちょっと怖い）、

抽出コストがばかにならないです。

そこでスイスのペンタファーム社が、蛇の毒を参考にし、

人工的に作り出した擬似蛇毒を開発しました。

その原料名がシンエイク。

正確にはシン-エイク（SYN-AKE）というみたい。

テレビでも取り上げられ、かなり売れたと聞きます。

もともとインドネシアに生息するテンプルバイパーを飼育しており、

この蛇毒を美容に利用できないか？と研究が始まったとか。

蛇毒っても色々ありますが、シンエイクはテンプルバイパーの毒を

模造したトリペプチドなんだとか。

別名、ヨロイハブ。ハブの仲間かな？？

えーと、毒は出血毒？！

ちょっとここで脱線します（笑）

蛇の毒ってのは、色々な種類がありまして、

一般に猛毒とされるのは神経毒。

コブラ科がもつやつで、アミノ酸60～74個のポリペプチドです。

ボトックス作用があるってことだったので、

同じ神経毒かと思ってたんですが・・・

で、出血毒ってのは血液凝固因子を活性化させ、

大量に血液凝固因子が消費されてしまい、逆に血が止まらなくなります。

血管細胞を破壊する作用もあり、出血も促す。

酷い場合には血栓が詰まって、重度化します。

ハブやマムシが持ってる毒です。

あとは筋肉毒ってのがあって、ウミヘビとかがもってるんだって。

筋肉細胞のアポトーシス（細胞死）を誘発するんだって。

これも場合によっちゃ、死に至ります。

うーん、よくわからんくなってきたな・・・

一応、ヨロイハブにも神経毒作用の毒成分も存在し、

それはWaglerin 1という成分で、これを真似たトリペプチドなんだとか。

作用は、シナプスの受容体に結合。結果、神経伝達物質が受容体に結合できず、

筋肉が弛緩してしまうってことらしい。

これは原料メーカーからのデータです。

Day0ってのは使用前で、次が額、目じりと続きます。

青はキメの荒さ

灰は最大起伏幅

橙は平均起伏

で、額では52％のシワが改善された！ということになります。

濃度は4％で28日間、1日2回の使用。

たぶん、効果はあるんでしょうね。

原液を売っているところもありますが、

作用は4％くらいが最高濃度になると思われるので、

原液で使うのは勿体ないかも。

ただ、覚えておいてほしいのは、

あくまで「神経毒の作用」を逆手にとって、シワを伸ばしているわけです。

従来の抗シワへのアプローチは、衰えた機能を活性化させ、

若かりしころの肌を取り戻そうってものですが、

これはあくまで「毒」によって、筋肉を麻痺させているわけで、

若返っているどころか、機能不全を起こしているわけです。

シワを伸ばす1つの手段ではあるのかもしれませんが、

継続的な使用はあまり褒められたことではないと思います。

まあ、個人的な意見ではありますが。

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