ぜんそくなどの重症アレルギー疾患のメカニズムを解明

アレルギーの革新的治療薬になる!?

千葉大学大学院医学研究院・中山俊憲教授の研究グループは、

喘息や好酸球性副鼻腔炎などの難治性のアレルギー疾患発症の鍵となるタンパク質を発見。

発症のメカニズムを解明しました。

2016年9月16日(米国東部時間)発行の米国学術誌Science Immunologyオンライン版にて発表しています。

 

アレルギー疾患等の鍵となる「タンパク質」を発見

アレルギーにはさまざまな反応があるわけですが、

主に喘息に対する症状を起こすタンパク質を見つけたという話です。

好酸球性副鼻腔炎についても関連があるとのことですが、

この病気も絡めると話が難しくなるので、喘息に絞って話を進めます。

(詳しくはwebの論文をご参照くださいませ)

 

アレルギーってのは、免疫の過剰反応であり、

免疫の異常で起こるわけです。

 

その過剰に反応する免疫細胞を病原性免疫細胞と呼びます。

これらは普段血管の中にいるわけです。

 

わかりやすいところだと、ソバアレルギーは、

そば粉を吸うだけで喘息症状を起こします。

これは食べても同じように咳が止まらなくなります。

 

吸った場合は、肺にアレルゲンが入ってきたわけですから、

過剰反応で咳がでるのはわかりますが、

食べてもでるってどういうこと?っだったわけです。

 

 

で、今回解明されたのは、血管中にある病原性免疫細胞を

外へ連れ出すのを手助けするタンパク質が見つかったってこと。

 

CD69分子と呼ばれるタンパク質は、病原性免疫細胞にくっつき、

血管中に存在するMyl9 nets(ネット上の構造)、まあ血管内の

網戸みたいなもの?から出入りできるようになるんだとか。

 

で、そいつらがご丁寧に炎症部へ赴き、暴れるというわけです。

この場合だと、肺までいって、症状を起こすんだとか。

 

 

タンパク質が同定されると何ができるかというと、

それに特異的な抗体を作れるんです。

 

CD69とMyl9/12分子の相互作用を邪魔する抗体を作成し、

喘息マウスに投与したところ、喘息が全く起らなくなったそうです。

この動物実験の結果から、これらの抗体は、ヒトでの難治性呼吸器疾患の

画期的治療薬となる可能性がでてきたわけです。

 

すでにヒト用の抗体は完成しており、

臨床試験の準備は着々と進んでいるとか。

 

まあ、実際に薬になって実用化されるのは、

まだまだ先の話ですが、即効性という意味では

従来の物と比べて断トツですからね。

 

革命的な治療薬への期待が高まるのは仕方ない事かも。

 

 

にしても、この抗体は飲み続ける必要があるのかな?

それとも使い続けるうちに、根本的な治療になるのかな?

 

また、病原性のない免疫細胞も阻害してしまいそうなんですが、

その辺は問題ないのかな?

 

なにはともあれ、今後の研究に注目です。

 

 

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