アトピー性皮膚炎のかゆみの原因が解明?!
アトピー性皮膚炎の最も厄介なのは「強い痒み」
掻くことで、症状が悪化し、慢性化してしまいます。
従来の治療法はステロイドをはじめ、免疫系を抑制することで、
炎症そのものを抑え、かゆみを抑制する方法がとられてきました。
この痒みの原因の1つとして、インターロイキン−31 (IL-31)がすでに知られています。
IL-31は免疫細胞によって放出され、本来は免疫の一環で、
体内に侵入した異物を攻撃するためのものです。
このIL-31が過剰分泌されることで、痒みが起こるわけですが、
なんでIL-31が過剰に産生されるのかというメカニズムは
よくわかっていませんでした。
だから、免疫系を鎮めてしまえって発想になるわけですが、
IL-31を制御するものがあれば、それをピンポイントで狙い撃ちする
アトピーの改善薬が作れる可能性がでてくるわけです。
なんと、九州大学の研究グループがそのIL-31の制御に関わる
物質を特定したとの発表があったわけであります。
その物質はEPAS1というタンパク質で、
アトピー性皮膚炎になると、免疫細胞内で増加するそうです。
そして、EPAS1というタンパク質が増えないように、遺伝子操作を
施すことで、IL-31の増殖は抑制されたそうな。
そのことから、強い痒みを引き起こすIL-31を制御しているのが、
EPAS1であるというわけです。
まあ、さすがに遺伝子操作をするわけにはいかないのですが、
EPAS1を抑えることができれば、今までのように
免疫を抑制することなく、痒みを止め、アトピー性皮膚炎を
改善できる可能性があるということがわかったわけです。
まだまだ先の話ではありますが、
新しいアプローチになることは間違いないかと。
方法としては、EPAS1に特異的にくっ付く抗体を作って、
不活性化させるって方法が取られることになるんじゃないかなー
今流行りのモノクローナル抗体ってやつね。
たぶん、一番手っ取り早いと思われます。
もしくは、EPAS1が増えるメカニズムを解明し、
それを抑制することができれば、より理想ではあるかな。
ただ、これはかなり時間がかかるんじゃないかな?
なんでこのタンパク質が増えるかってのはまだ不明ですので。
痒みを根本から抑制することができれば、
治療も簡単になるでしょうし、患者の負担もかなり軽減されるのではないかなー
塗り薬でできたら、かなり革新的な薬になると思います。
まあ、最もIL-31がすでに大量に作られ、痒いって状況下で、
意味があるのかって問題もあるんですけどねー
求められるのは、即、痒みを抑えるものですから・・・
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ちい (金曜日, 13 1月 2017 02:49)
前に記事にしてくださったデュピルマブだとIL-4とIL-13間のシグナルを阻害するっていうお話でしたが、あれはあくまでアトピー自体の改善で(以前の記事のリンク先のabstract読んだんですが、詳しいスケールが載ってなかったので、スコア値の内訳がわかりませんでしたが)、今回のは痒みに特化した話なのかな?と捉えています。
DOCK8に異常があるとアトピー以外でも免疫系統がやばいみたいなので、本来なら直接そこをどうこうできれば一番根治に近い感じなんじゃねって思いましたが、いいことができるってことは悪用もできるから、倫理的にまずいとこに足突っ込むことになるのかな…なんて、素人の頭でもにゃもにゃ考えてました。
痒みを起こすのとアトピー自体を起こすILの種類が違うのかなー不思議だなーと思っています。
で、本題はブログの内容とは全然関係ないんですが、ナチュセラ雫が粘るんですが、粘るのは正常ですか?
塗るとさらっとしてすぐ染み込むのですが、容器から出すときに、ねちょーんとなります。
でも、雫、すごくいいです。最初は手に使ってましたが、顔にも塗ってみたらいい感じです。
かかとガサガサなズボラな家族の者も、すぐ靴下が履けていいらしく、続けて使えてるので助かります。
森崎 (金曜日, 13 1月 2017 13:01)
コメントありがとうございます。
炎症は複数の経路を連鎖的に引き起こすことで、どんどん悪化します。
どこかを止めれば、その負の連鎖を止めることになるので、大元を叩くのが理想にはなります。
ナチュセラ雫は出すときはネバってしてます。
喜んでいただき、嬉しく思います。
ちい (金曜日, 13 1月 2017 19:00)
ナチュセラ雫が粘るのは正常なんですね。良かったです。
いえ、こちらこそ、いいものをいつもありがとうございます。