化粧品における防腐剤
知っての通り、水は置いておくと腐ります。
正確には水の中に雑菌が繁殖するという表現のほうが適切かな。
化粧品の多くは水を多く含んでいますので、
防腐剤なしでは菌の繁殖を免れません。
逆に言えば、水を使ってければ防腐剤は不要になります。
クレンジングオイルや美容オイルは防腐剤フリーになっています。
まあ、水溶性ですから溶けないってのもあるんですが。
その代わり、酸化防止剤としてトコフェロールやオリザノールが配合されます。
さてさて、防腐剤の目的は菌の増殖を防ぐことです。
菌を殺すことではないので、殺菌作用は必要ありません。
静菌作用と呼ばれるものです。
●●%の濃度で●●菌(大腸菌、サルモネラ菌などなど)の増殖を99.8%抑制した
って形になります。
最も使われている防腐剤はパラベンになります。
特徴としては、
- 非常に広範囲の微生物に抗菌力をもっている。
- 少量で有効、かつ持続性がある。
- 効果はPH(ペーハー)に影響されない。
- 各エステル間に相乗作用を有する。
- 毒性はきわめて少ない。
- 価格が比較的安価で経済的
価格が安いってのもありますが、安定性抜群ってのと、
実績が蓄積されているってのが大きいかな。
パラベンにアレルギーがなければ、毒性はほとんどないです。
パラベンアレルギーは決して多いわけではないですが、
極めて少ないってわけでもないです。
花粉症と同じで、ある日突然なるのですよねー
困ったことに。
最近ではパラベンフリーの商品が増えてきています。
(風評被害による影響って理由で増えているだけですが)
上限は1%ですが、一般的には0.3%くらいです。
複数のパラベンを組み合わせることで、さらに低濃度にもできます。
パラベンの種類は、
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン
ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン
複数入っていると「うわっ」と思うかもしれませんが、
それは使用濃度を抑えるための工夫だと思われます。
(もしくは原料由来をキャリーオーバーにせずに表記しているか)
まあ、パラベンは全く触ったことがないので、詳しくはわかんないんですけど、
0.15%くらいまでは抑えることができるそうです。
で、パラベンにとって代わってきているのがフェノキシエタノール。
通称フェノキシ。
比較的新しい防腐剤で、旧指定成分が存在しているときには
まだなかった成分です。そのため、旧指定成分に指定されていません。
茶の葉にも含まれている成分ということで、
イメージはよいってことで採用が増えてった経緯があります。
ぶっちゃけ、パラベンと防腐効果も肌刺激も変わらないです。
価格面でもいまでは差はほとんどなくなって来てます。
特徴としては、パラベンでは効きにくいとされるグラム陰性菌に有効だということかな。
パラベンを使う必然性ってのは無くなってきているのが現状。
加工メーカーでの使用実績も増えてきているので、
実績云々って面も解消されています。
上限は1.0%。
一般的には0.5~0.6%くらいで使われます。
フェノキシエタノールにもアレルギーはあります。
実際には聞いたことはないですが。
経口投与ではパラベンよりも毒性が高いですので、
化粧水をドリンクのようにゴクゴク飲むのはやめましょう(笑)
で、一時はフェノキシエタノールも使わずに、天然成分で防腐するのが流行りました。
かなり前の話になるんですけどね。
ローズマリーエキスとか、ヒノキチオールとかね。
ただ、安定性っていう意味ではかなりリスキーでして、
多めに配合される傾向にあり、原価を圧迫するとともに、
刺激性を高めてしまうので、今では好んでは使われません。
コンセプト的にどうしてもって場合くらいですよね。
加工先は避けたいところですから。
なんか問題があり、回収ってことになったら、
一切責任とらんよ?ってことでやってくれるという案件です。
最近の主流は、多価アルコールの防腐効果を利用したもの。
カプリリルグリコールであれば0.1~0.3%と低濃度でも十二分に防腐効果を発揮します。
ペンチレングリコールでは3~5%、ヘキサンジオールでは1~1.5%と
割と低い濃度でもしっかりと防腐できるので重宝されています。
BGであれば10%以上いれば、防腐効果を発揮します。
防腐剤フリーの原料は30~50%くらいBGを含んでいる場合が多いです。
パラベンにアレルギーがあるように、
これらの成分にアレルギーを持っている人もなくはないので、
この方法が絶対的に優れているってわけではないんですがね。
ま、防腐剤で化粧品の良し悪しってのは決まりませんよ?
という話です。
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