化粧品の枷

ルール上の制限

お客様からの情報提供で、かなり攻めた商品を知りました。

まあ、「商品だった」という表現のほうが正しいか・・・

知らないってのはある意味、強みでもあるのかもね。

 

さてさて、化粧品を作るうえで、最低限のルールってのがあります。

①化粧品の原料はINCIコードに登録してあるものしか使えない

INCIとはPersonal Care Product Council(PCPC)という米国の化粧品業界団体が

作成している化粧品の成分名称です。

これがないと表示名がないので、使えないってことになります。

 

②原料には原料規格書と分析表が必要

まあ、なくても作れるんですが、OEMメーカーにお願いする場合は必須になります。

OEMメーカーに依頼すれば、原料調達もしてくれるので、

気にする必要はほぼないんですがね。

原料のロットで大きくぶれるようなものは、トラブルの元ですからねー

 

③化粧品を作るには製造許可が必要

行政に申請して、許可をもらう必要があります。

製造と製販の2つの許可を取る必要があり、製造は文字通り化粧品を製造する資格、

製販は表示に製造販売元として書く資格。

製販をとっていれば、他所で作っても自社の名前を書けるってわけ。

 

 

で、話を戻すと、その商品の何が凄かったかというと、

これらすべてに抗っていたわけです。

 

知っててやっていたのか、知らずにやっていたのかはわかりかねますが、

信念に基づくものだったんでしょう。

 

どのような理論に基づくかってのは割愛しますが、

独自の発酵物を用いていました。

 

植物発酵エキスは何種類か化粧品原料で使えます。

登録してしまえば、何使ってようが登録は可能なんです。

INCIコードの登録は安全性とかそういったものは関係ないですからね。

命名法のルールに則って、機械的に処理されるものですから。

 

申請すれば、1つの原料として表示することになりますが、

なんと食品表示のように発酵に使った成分を羅列していたわけです。

さらに、微生物が生きていると宣っていたわけです。

 

発酵物ってのは微生物によって行われます。

自然発酵にしても強制発酵にしてもね。

まあ、酵素処理でも発酵といえるんですが。

 

まあ、菌が生きているとかは本来どうでもよくて、

酵素が生きているか否かってのが重要になってくるのですが、

少なくとも菌が生きている=酵素が生きているといえるわけで。

 

しかしながら、化粧品ってのは菌数が規格内でないと出荷できません。

そもそも、菌数の多い原料はライン汚染になるので使えません。

 

つまり、真っ当な工場では作れないんですわ・・・

 

 

菌が生きている化粧品。

「生」化粧品といった感じか?

そういったものが作れれば面白いですし、化粧品の可能性ってのは広がるとは思うんですが、

ルールはルールですからね・・・

 

 

ただ、抜け道がないわけではないんです。

化粧品としては売れないですが、雑貨としてなら売れるんです。

 

例えば、石鹸。

観賞用であれば、あなたが作っても売ってもいいんです。

雑貨屋さんでも見かけません?クマやウサギの形した石鹸とか。

匂いが強めで、アロマ的な使い方をするってのでもありです。

ただし、体に使う事を示唆してはいけないんですがね。

 

この商品、シャンプーだったんですが、

洗剤として売れば、雑貨なので問題はないくなります。

皿を洗うためとか、洗車に使うとかであれば化粧品ではなく雑貨になります。

 

雑貨なので、成分表示は不要です。

だからINCIコードもいらないし、原料規格書だっていらない。

むしろ、表示してはいけないんですよ。

表示しちゃうと、化粧品と誤認してしまうからダメなんだそうな。

 

もちろん、シャンプーとして使うことを示唆した時点でアウトです。

商品名にシャンプーとか書いててもアウトです。

 

 

さすがにこれだと売れないですけどね・・・

 

 

そういうわけで、ルール内で作らなきゃいけないわけですが、

このルールに囚われなければ、もっと面白いものができるかもなー

なんてことを思ったわけであります。

この商品、すごくいいってことだったので。

 

まあ、このルールは消費者を守るものってのはわかってはいるんですがね。

 

 

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