腸内細菌が食べたい物を決めている?!

無性に食べたくなるのは腸内細菌のせい?

不安やうつは腸の状態と関係あり、腸内バクテリアが変われば行動も変わると言われています。

これはうつに関わりのあるセロトニンというホルモンが腸内で90%作られていることが

関係しているわけです。

 

そのため、腸は「第二の脳」なんて呼ばれています。

腸によって、感情や考えをコントロールされている・・・ってね。

 

虫の居所が悪いとか、腹の虫がおさまらないみたいな、

まさに腸内細菌によって感情がコントロールされているかのような言葉があります。

尤も、当時は寄生虫がいたので、本当に「虫」だったのかもしれませんが。

 

で、面白い話が、腸内細菌がは宿主である人の脳に「これを食べてくれ!」

という信号も送っており、食べるものの選択に腸内細菌が関わっていると。

 

で、それを示唆した研究が発表されました。

 

Commensal bacteria and essential amino acids control food choice behavior and reproduction

 

研究で、まずチームはグループ1のハエに必須アミノ酸を全て含んだショ糖の溶液を与え、

グループ2のハエにはいくつかの必須アミノ酸を取り除いた餌を与えました。

 

必須アミノ酸はタンパク質の合成に必要な物質なのですが、

体内で作り出すことができないので、体外から取り入れるしかないアミノ酸です。

 

そして3つ目のグループのハエには、どの必須アミノ酸がバクテリアによって検知されているのかを

明らかにすべく、1つずつ必須アミノ酸を取り除いた餌を与えました。

 

G1はポジティブコントロール、G2はネガティブコントロール、

G3で行動の違いを検証するわけです。


72時間後、タンパク質を豊富に含んだイーストと通常のショ糖溶液が食事として与えた結果、

必須アミノ酸を欠いた食事を行った2つのグループのハエは、足りない栄養素を補うべく

イーストを強く求めたとのこと。

 

まあ、これは当たり前の話で、体が足りない栄養を求めている・・・

とも考えられるわけです。

 

しかし、その後、研究者らがラクトバチルス・プランタルム、ラブレ菌、

アセトバクター・ポモラム、コメンサリバクター・インテスティニ、

エンテロコッカス・フェカリスという5種類のバクテリアをそれらのハエから取り除くと、

 

必須アミノ酸を制限した食事を行っても、ハエはイーストを求めないようになったそうです。

 

 

つまり、足りない栄養を求める働きは、我々個体が感知しているのではなく、

腸内細菌による影響がデカいってことを示唆しているわけです。

もしくは逆に、悪い腸の菌叢が必須アミノ酸がなくてもいいと脳へシグナルを

送っている結果なのかもしれません。

 

 

5種類のバクテリアのうち影響力が大きいのはラブレ菌アセトバクターで、

この2つのバクテリアの量を増やされたハエはタンパク質をより強く求めたそうです。


続いて、チロシン合成酵素を取り除いた個体を作り出しました。

つまり、チロシンが必須アミノ酸になったハエですね。

これが不足すれば、食べ物から摂取する必要があるわけですが、

チロシンを抜いた食事をしても、チロシンを求めるようにはならなかったそうな。

 

 

 

宿主が何を食べるかで、腸内環境は左右されます。

強い勢力が有利になるように、宿主に働きかけているってのは

まあ、あり得る話ではありますよね。

 

例えば、ジャンクフードばかりを好んで食べる人は、

腸内細菌の菌叢はかなり悪い状態であると予測されますが、

その菌叢にとっては、この非常に栄養価の偏りのある食事が

望ましいってことなんだと。

 

妊娠すると、食事の好みがガラリと変わるといわれますが、

もしかしたら腸内の環境がガラリと変わっているのかもしれませんね。

まあ、ホルモンの影響が強いとは思うんですが、

それだけじゃないかもねって話です。

 

 

まあ、細菌にコントロールされているというのは癪な話ではありますが、

これを逆に利用すれば、食生活の改善をしやすくなるのかな?

まだそこまで詳細にわかっているわけではないんですが。

 

ただ、腸内の菌叢によって、活性化する遺伝子が異なること、

吸収される栄養に違いがあることは明らかなので、

将来的にはより詳しいことが解明されることでしょう。

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