新たな乳化技術
資生堂から、界面活性剤を使用しない、新たな乳化技術の開発に成功したそうな。
しかも、油分、水分の比率は自由自在で非常に使い勝手のよいものらしいです。
乳化ってのは界面活性剤をぶち込めば容易にできます。
ただ、使用感とか形状とかを気にすると、
非常にデリケートで難易度が極端に上がります。
配合比率や使う界面活性剤など、各工場で蓄積したもので、
乳化技術=その工場の技術力といっても過言ではないです。
さらに、新たな界面活性剤は決まって取り扱いが難しいんです。
で、このコアコロナ乳化を使えば、簡単に使用感に優れた
化粧品を作ることが可能に・・・なるかも、というお話。
乳化剤として使われるのは、コアコロナ粒子と呼ばれるもので、
油になじみやすい骨格(コア)部分と水になじみやすい周辺(コロナ)部分
からなるポリマー微粒子です。
親油性のコアのまわりに、親水性のものが覆っているわけですが、
親水部が完全に親油部を覆ているわけではなく、割と隙間がある状態になっているので、
油にもとけるというわけです。
その結果、図のようになるわけ。
通常、W/O、O/Wで使う界面活性剤は異なりますが、
コアコロナ粒子なら、どちらでも可能で、
油と水の比率が逆転しても問題ないというのが特徴。
低濃度で乳化可能で、従来の界面活性剤を遥かに超える
技術であるとのこと。
従来の界面活性剤に比べ 100 倍以上となる直径をもっています。
物質自体も柔らかく、粉っぽくなることもないです。
今までは、両立が困難だった「みずみずしい塗り心地でありながら水に強いサンスクリーン」や
「劇的にうるおうのにべたつかない保湿クリーム」 など、画期的な化粧品のレシピを生みだす可能性
が期待されます。
資生堂の立場として、界面活性剤は肯定的にとらえるしかないわけですが、
界面活性剤フリーというのも実現しますね。
構造上、これが洗浄剤となることはないですし、
分子も大きいので、肌へと浸透することもないです。
安全性の非常に高い化粧品が出来上がるというわけで、
界面活性剤に否定的な層へのウケもいいのではないでしょうか。
もう少し詳しくコアコロナ粒子について説明しておくと、
親水部(周りのモシャモシャ部分)はポリエチレンオキサイドマクロモノマー。
まあ、PEGのデカいやつです。
疎水部(コア)はアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどが使われます。
当然、特許をとっているので、資生堂以外からは作られることはないんですけどね。
これをヒントとして、特許を侵害しないような
乳化剤が今後でてくるかも・・・しれません。
まあ、この技術を使った商品の売れ行き次第ではありますが。
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