ミトコンドリアを活性化すれば若返るかも

ミトコンドリアと老化の関係性

ミトコンドリアが老化に関わっていることはわかっていましたが、

実際にどのような影響があるのかってことに関しては不明でした。

 

アラバマ大学バーミンガム校の研究チームは、遺伝子編集を利用して、

ミトコンドリアと老化のプロセスの関係性を明らかにしました。

 

Reversing wrinkled skin and hair loss in mice by restoring mitochondrial function

 

ミトコンドリアのDNAが不足するようにしたマウスを作り、

観察した結果、シワができて抜け毛が増えて禿げ、ミトコンドリアのDNA不足を

解消してやれば、その症状、つまり老化は改善されたというもの。

 

 

ミトコンドリアとは?

ブドウ糖からエネルギーを産生して、我々は活動しているわけですが、

エネルギーをATP(アデノシン三リン酸)にため込んでいます。

栄養をATPに変えて、必要に応じてATPからエネルギーを取り出して

使っているわけです。

 

で、ミトコンドリアはATPを作るところです。

ミトコンドリアは細胞内に存在しています。

 

通常、ATPは解糖系、クエン酸回路、電子伝達系の過程で産生されます。

好気細胞、つまり酸素を必要とする細胞の場合ですが。

 

ミトコンドリアは電子伝達系を行っている場所です。

ブドウ糖1分子から、解糖系ではATP2分子、クエン酸回路では2分子に対し、

電子伝達系は34分子のATPが産生されます。

 

つまり、ATP産生に関して、ほとんどをミトコンドリアに依存しているってわけです。

 

 

で、ミトコンドリアは昔は単独で存在していたバクテリアの一種で、

進化の過程で真核細胞との共存の道を選んだと言われます。

(細胞内共生説とか共生進化説とかいうやつです)

 

その証拠というわけではないのですが、

ミトコンドリアは細胞のDNAとは別に独自のDNAを持っています。

ミトコンドリアDNA(mtDNA)と呼ばれます。

そのため、半自律的に分裂して増えます。

 

 

ミトコンドリアはエネルギー産生の工場みたいなものなので、

活性酸素による被害を受けやすいです。

なんせ、酸素をガンガン使うところですから。

 

そのため、通常の核にあるDNAよりもダメージを受けやすいと考えられています。

mtDNAのダメージ蓄積により、ミトコンドリアが減ることで、

ATPの枯渇が起き、結果として老化につながると考えられています。

 

 

この実験ではミトコンドリアにはPOLG1というDNAの複製に関わる酵素が存在していますが、

この酵素をコードしているmtDNAを変異させ、POLG1を作らせないようにしました。

これによって、本来緩やかに起こるミトコンドリアの減少を急激に起こすことができ、

その過程を観察したというわけです。

 

同じ年齢にも関わらず、シワができ、毛が抜けたわけです。

 

POLG1が産生できず、ミトコンドリアが減少することで確認されたのは、

表皮の肥厚

・角質の増加・

・タンパク質分解酵素の増加

・毛包の機能不全

・老化に関連する遺伝子部位の発現が変化

 

で、PLOG1を正常化してやると、

変異させてないマウスと区別がつかなくなるまで回復したそうな。

 

 

つまり、ミトコンドリアを増やすことができれば、

若返りを可能とすることができるかもしれない・・・

ってことがわかったわけです。

 

もちろん、老化のしくみは実に巧妙に、複雑に設けられており、

ミトコンドリアはそのうちの1つに過ぎません。

ただ、もし人為的にミトコンドリアを増やすことができれば、

老化の進行を抑えることができるのは間違いなさそうです。

 

 

ミトコンドリアを増やす方法として、

負荷をあたえるか、食事を制限するか・・・

まあ、体内のエネルギー供給不足を起こすことで、

それに対応するためにミトコンドリアが増えると言われます。

 

しかしながら、ミトコンドリアの減少がmtDNAの欠損の結果である

とするならば、そもそもミトコンドリアが増やせない状況なわけなんです。

 

で、PLOG1を何らかの形で補えば、ミトコンドリアを増やすことができ、

若返りも可能になるのではないか・・・?って話です。

 

化粧品にもそのうち応用される日がくるかもしれませんね。

 

 

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