ノーベル医学・生理学賞 がん免疫治療薬、ここが凄い!
京都大特別教授の本庶佑氏が2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞したことで、
注目を集めているがん免疫治療薬「オプジーボ」。
ニボルマブと言う成分で、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体医薬品。
これがどのようなものがと言うと、現行の治療ではがん細胞を直接叩く、
抗ガン剤が主流となっています。
これは、爆撃ミサイルみたいなもので、ガン細胞にダメージを与えるだけでなく、
周りの健康な細胞もまとめて攻撃します。
強い抗がん剤だと、ガンで死ぬか、抗がん剤で死ぬか、
ってくらいになってしまいます。
まあ、近年はこの爆撃の精度を上げて、
ポンポイントでガン細胞に攻撃したり、
普通の細胞にはあまり影響がないようなものも
開発されているのですが、オプジーボは別のアプローチをしたものになります。
オプジーボは直接ガンを叩くものではないです。
本庶氏は1992年、免疫を担う細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質を発見します。
免疫細胞が暴走すると、それはそれで大変です。
花粉症などのアレルギーも免疫の暴走で、本来は攻撃しなくてもよい花粉を
攻撃してしまうことで起こります。
リウマチも免疫が自己細胞を攻撃することで起こす疾患です。
ですので、暴走しないよう、免疫にはブレーキが備わっているわけです。
それがPD-1っていうタンパク質なわけ。
PD-1は受容体で、ここに「攻撃ヤメ」っていうメッセンジャー物質がはまると、
免疫は免疫活動を止めます。
で、この仕組みを逆手に取って、ガン細胞は免疫からの攻撃を逃れている手段として、
PD-1にはまる部位をがん細胞がもっていることを突き止めました。
オプジーボはこのPD-1の受容体にフタをするもので、
免疫のブレーキが壊れた状態にします。
通常はがん細胞によって免疫の活性が抑えられるのですが、
オプジーボで高い攻撃性を維持したまま、ガン細胞を攻撃し続けます。
自身の免疫細胞によって、ガンを治療するものなので、
抗ガン剤よりは副作用が少ないです。
まあ、問題点もあるんですが、
1つは効果がある人が限られるそうな。
3割いかないとかなんとか。
原因としては、そもそも免疫が弱っていたら、
ブレーキを外したところで、ガン細胞を倒す力がないってのが
考えられるかな?
2つ目は、この免疫薬に対して、耐性ができてしまうそうな。
1年で効かなくなったとの症例もあるそうな。
3つ目は、逆に投与をやめても効果が持続するということ。
治療が終わっても副作用の危険性があるというわけ。
抗がん剤よりは副作用は弱いですが、ないわけではないんす。
課題はまだまだありますが、今後のガン治療の在り方を大きく変えた薬ってわけで、
ノーベル賞の受賞へとつながったわけです。
【関連記事】