脂肪って括りなら、まあ同じ脂肪ですけど
「ダイズステロールはセラミドなの?」とのご質問をいただきました。
いや、違いますけど。
これだと話が終わってしまいますので、掘り下げます。
おそらくですが、ダイズステロールは別名フィトステロールズと呼びます。
表記上はどちらでも構いません。好きなほうを表記すればいいです。
フィトスフィンゴシンはセラミドを構成するもので、セラミドの前駆物質となります。
これに名前が似ているから、フィトステロールズもセラミド関係のものかも?
と思ったのではないでしょうか。
フィトステロールズってなんぞや
フィトステロールってのは植物ステロールの総称になります。
ダイズから抽出していればダイズステロール、
コーンから抽出していればコーンステロールみたいな。
厳密には何種類かの混合物になるのですが、
図はその代表的なβ-シトステロールになります。
構造を見れば、化学式がよくわからなくても、
セラミドではないなーというのが分かると思います。
これに近い構造をもつのがこれ。
これが何かというと、コレステロールっす。
性質もコレステロールに近いです。
白い粉末で独特なにおいがあります。
水には溶けませんが、アルコールには溶解可能とユニークな特性があります。
植物の細胞膜の構成成分の1つとなります。
ヒトには存在しません。
コレステロールの吸収を抑制する効果があり、
コレステロール値を下げる効果があるとされています。
また、腸内の炎症を抑制する効果があるとかないとかで、
腸ガンの予防効果があるかもしれないと言われています。
まあ、脂質であるのは間違いないので、
セラミドと同じ脂肪だと言えなくもないです。
カピパラとイルカは同じ哺乳類だから、同じっていってるのに等しい話ですけどね。
フィトステロールズの働き
化粧品での効果は何かというと、
1つはエモリエント剤として配合されます。
コレステロールの類似作用があるので、
昨今の植物由来が好まれる傾向にあり、代用品として使用されます。
もう1つはリポソームの安定化作用があります。
もともとリポソーム化ってのは、擬似的な生体膜を作ることで、
植物細胞の細胞膜の安定化にフィトステロールが関与しています。
それを利用して、リポソームの安定性を格段に上げることができます。
まあ、コレステロールでもいいんですけどね。
植物ステロールというと、なんか凄くいいもののように思われるかもですが、
塗布での使用ではこれ以上の効果は期待できません。
安全性については高いですけどね。
さてさて、この話から得られる教訓は、
「これはセラミド類似物だ!」と言い切ってしまえば、
消費者に信じ込ませることは容易であるってことです。
おそらく、疑うことすらしないのではないかな?
もちろん、それっぽい名前のものじゃないとダメだろうけど。
そういう意味ではフィトステロールはうってつけかも。
セラミドと同じ脂質です(嘘じゃない)。
それらの総量は●●%です!みたいな?
まあ、セラミド濃度を量増ししなきゃいけないようなところは、
セラミドの濃度なんて公開できるわけないので、関係ないとは思いますが。
セラミド化粧品を選ぶときは、セラミド濃度ではなく、
ヒト型セラミドの濃度を参考にしたほうがよいかなー
と思います。
【関連記事】