痒みに脳内物質アロプレグナノロンが関与
京都薬科大学薬理学分野の藤井正徳准教授らの研究グループが、
アトピー性皮膚炎の痒みの悪化に脳内物質であるアロプレグナノロンが関与していること
を発見したとの発表がありました。
英国の国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン速報版で発表されています。
脳内で生合成されるアロプレグナノロンとアトピー性皮膚炎の痒みとの関連性を
初めて明らかにしたことにより、新しい治療薬の開発につながることが期待されます。
ストレスとアトピーの悪化との関連性は明らかではありますが、
アロプレグナノロンはストレスで減少するものなので、
ちょっと意外かなーと思いました。
アロプレグナノロンは脳内で生合成される神経ステロイド(ニューロステロイド)です。
鎮静、催眠作用があるとされ、これが減少すると不眠障害がでるといわれます。
長期的なストレス下ではアロプレグナノロンの減少が不眠に大きく関与しており、
これを投与してやることで改善効果があるとか。
イライラ、攻撃性にも関与しており、生理前のイライラも
このホルモンが関与しているとか。
ですので、アロプレグナノロンが減少すると、痒みがでそうなものなのですが、
なんと増加すると痒みが促されるみたいです。
実験方法は、ヒトのアトピー性皮膚炎の起こすマウスに対し、
アロプレグナノロンを脳内に投与したところ、掻痒行動が著しく増加したそうな。
また、アロプレグナノロンが増加し、掻痒行動が増加しているマウスに
アロプレグナノロン合成酵素阻害剤であるフィナステリドを投与することで、
その常用を抑制できたとのこと。
つまり、アロプレグナノロンを減少させれば、
痒みが治まり、アトピー皮膚炎の治療が楽になるのではないか?
との期待がよせられるわけです。
それにしても、不思議ですよね・・・
課題としては、アロプレグナノロンを何で抑えるかってことと、
その影響が人ではどうでるかってことかな。
不眠になったり、イライラするようになっては、
本末転倒ですからね。
ストレスはアトピーを悪化させますから。
また、アトピーは幼児が対象になるわけですから、
脳内に作用する薬が、成長に悪影響するかもしれないという
懸念はあります。
その辺を検証することすら難しいので、ちょっと商品化は難しいのではないかなー
と個人的には思います。
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