パラベンミックスはアレルギーになりやすい?
パラベンに対してアレルギー反応が現れるのは0.3%程度だと言われています。
一方で、パラベンミックス、つまり複数のパラベンを使用した場合は、
その数値が跳ね上がり2%近い割合でアレルギー反応が現れる・・・
って話がありまして。
2%も多いか少ないかは意見の分かれるところですが、
個人的には少なくはないかなーと。
ただ、この話、調べてみるとちょっと怪しいんですよね。
ソースとなるのは、Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)になります。
Cosmetic Ingredient Reviewってのは、CIRと略される場合が多いです。
アメリカで化粧品成分の安全性を評価している機関で、関連するあらゆる論文を漁って、
それらを精査するって感じなんかな。
パラベンミックスはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、
ベンジルパラベンの混合物となります。
パラベンの構造式はこんな感じで、Rの部分に何がくるかで名前が変わります。
CH3だとメチルパラベン、
CH2CH3だとエチルパラベン、
CH2CH2CH3だとプロピルパラベン、
CH2CH2CH2CH3だとブチルパラベン、
ベンジルパラベンはRの部分にベンジル基がくっつきます。
六角形のやつね。
Rの部分の分子が大きくなるほど、抗菌力は上がります。
ただ、Rの部分の分子が大きくなるほど、水に溶けにくくなり、
結果としてメチルパラベンが使い勝手がよく、最も使われることになります。
ぶちゃけ、5種類も入ってる商品はみたことないんですけどね。
まあ、それもあるんですけど、問題の部分は以下の部分。
「接触性皮膚感作試験では一般的に各3%濃度で15%パラベンミックスを使用します。」
15%ものパラベンを含んでるものを使ったとき・・・って話なんですわ。
パラベンの使用量は上限1%です。
パラベン類で1%上限なので、ミックスしても1%を超えることはないです。
つまり、現実ではありえない濃度ってなわけ。
ミックスしているからってよりは濃度のせいで、高い割合になっていると思われます。
実際に記載されているデータは、
2,061人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏をパッチテストしたところ、
44人(2.1%)の被検者に感作反応が示された(North American Contact Dermatitis Group,1972)
1,862人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏をパッチテストしたところ、
40人(2.1%)の被検者に感作反応が示された(North American Contact Dermatitis Group,1979-1980)
5,799人の被検者に14%パラベンミックスをパッチテストしたところ、
66人(1.13%)の被検者に感作反応が示された(N Hjorth,1962)
4,097人の被検者に15%パラベンミックスを含む軟膏を24時間Chamber適用したところ、
14人(0.3%)の被検者に感作反応が示された(M Hannuksela,1976)
192人の被検者に15%パラベンミックスを48時間Chamber適用したところ、
7人(3.6%)の被検者に感作反応が示された(J E Fraki,1979)
1,312人の被検者に15%パラベンミックスを含むパラフィンを48時間パッチテストしたところ、
31人(2.3%)の被検者に感作反応が示された(J E Fraki,1979)
これらのパーセンテージの平均をとると2%くらいなんで、
2%って数字がでてくるのだと思われます。
全部の人数をまとめてしまうと1.3%くらいなんすけどね。
これとは別に1%のパラベンミックスを使ったときは、問題がなかったとの報告もあり、
まあ、間違いなく高濃度だってのが問題だと考えられます。
15%という高濃度にも拘わらず、2%しか問題がなかったってことは、
逆にパラベンの安全性を示しているといってもいいのかもですね。
まあ、この試験で2%に入ってしまった人は、今後は低濃度でも反応するように
なったでしょうから、災難なことです・・・
ただね、流石に15%ってのはあり得ないにしても、
もし、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、メイクとそれら全てに
最大値1%はいっていたら、実質6%分のパラベンを使用していることになります。
もちろん、最大値ってことはないでしょうが、そこそこ高い濃度で、
毎日使っていたら、何かしらのきっかけでアレルギーが起こる
確率は低いとはいえないのかなと思ったわけであります。
花粉の季節だとか、PM2.5が沢山舞っているとか、生理だとか、体調不良だとか、
過度なストレスとか・・・それらが重なる日ってのはあるでしょう。
そういう時に、パラベンアレルギーの引き金が引かれてしまうんじゃないかと思うわけです。
一度なってしまったら、微量でも反応が起こるようになります。
単体であれば、パラベン使ってても問題になるってことはまずないと思いますが、
ラインでみたとき、必ずしもそうではないのではないか?という話です。
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