合成カエデタンニン
1月7日、富山大学から肌セラミドを増加させる成分、ギンナリンBの合成に
成功したとの発表がありました。
合成酵素(CERS3)を活性化し、セラミド分解酵素(CDase)の阻害と
ダブルの効果で肌のセラミドが増える画期的な化粧品素材なんだそうな。
セラミド界隈ではこの話題で持ち切りで、高い注目を集めています。
似たような作用でライスパワーNo.11とかあり、セラミドを直接補うのではなく、
内側から増やすってのはウケが良く、実際にその商品は一時爆発的に売れました。
まあ、お米からできた成分ってことで日本人ウケしたってのもありますが。
ですので、需要は高い素材ってことで、注目されているわけです。
ギンナリンBとは
ギンナリンB(Ginnalin B)はカエデ科の植物に含まれるポリフェノール。
サトウカエデ、アメリカハナノキなどから取れる希少成分です。
メイプルウォーターというサトウカエデの樹液がありますが、
高い保湿作用を持っているのは、ギンナリンの作用によるところもあるのかもしれません。
で、ほんのわずかしか含まれない微量な成分の合成に成功したというのが
画期的なわけであります。
ギンナリンはA、B、Cとあり、抗がん作用があるともいわれ、
そちらの方面でも研究されています。
BとCは光学異性体になるんかな?
抗がん作用はギンナリンAが顕著とのこと。
抗酸化作用、抗菌作用のほか、糖質分解酵素の阻害効果なども確認されています。
ギンナリンBの効果
①セラミド合成酵素の活性化
in vitroでセラミド合成酵素(CERS3)のmRNAを調べたところ、
発現量が約1.5倍になったそうな。
要するに、セラミド合成酵素がたくさん作られるようになったということ。
実際のセラミド合成量は、なんと2倍以上にもなったとか。
セラミド合成に関わる酵素は色々ありますが、CERSは
ジヒドロスフィンゴシンをジヒドロセラミドへと変換する酵素で、
CERS3はそのうちの1つです。
通常は遺伝子発現量より、生成物の増加率は下がる傾向にあります。
セラミド合成のmRNAが1.5倍であれば、通常はセラミドの産生量は
1.5倍以下になるんですが、2倍という驚異的な数値になっています。
これはセラミド分解酵素であるセラミダーゼの活性を抑えているから
であると思われます。こちらのデータは開示されていませんが。
②表皮細胞の分化促進作用
ケラチノサイトの初期分化マーカーであるケラチン10、ケラチン 1
および後期分化マーカ ーであるフィラグリン遺伝子の有意な発現上昇が確認されました。
ケラチンは角化細胞の細胞骨格であり、ケラチン1、10は有棘層で多くみられます。
フェラグリンは天然保湿因子の素となります。
遺伝子発現量だけでなく、実際にそれらのタンパク質が増加していることも
確認されています。
まあ、簡単にいえば角質層に必要な成分がいっぱい作られるってこと。
セラミドもその1つってことです。
今後の展開
すでにINCIコードを取得しており、
化粧品表示名称は没食子酸無水ソルビトール
ちょっと分かりずらい表示名です。
すでに大量生産の方法も確立されており、
製品化の準備は万全って感じ。
あとは、買い手が見つかれば、一気に展開することになるんじゃないかな?
まあ、大手を狙っているんでしょう。
2020年1月20日から始まる化粧品開発展に出展するそうなので、
そこで企業を捕まえるつもりなんでしょう。
原料メーカーと組んでくれれば、うちにもワンチャンありますが、
大手企業と組めば留め型になっちゃうと思うので、
使うのは難しくなるかなー
あとはメイプルウォーターが再注目されるだろうなーと思います。
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