pH調整剤がムダに入っている理由
pH調整剤は、だいたいの化粧品で使用されています。
ちょっとpH調整剤に思うことがあるので、それを書いていきたいなと。
まあ、かなり捻くれたものの見方ではあるんですがね。
pH(ペーハー)とは
水素イオン指数のことなんですが、簡単にいえば、pHが低いと酸性、
pH=7は中性、pHが高いとアルカリ性って話。
洗浄剤ではpHが重要で、石けんはアルカリでないと泡立たないし、
肌は弱酸性だからってな理由で、弱酸性にしているものが多いです。
弱酸性ってのはpH4~7未満、弱アルカリってのはpH7以上~10くらいを指します。
pH調整剤とは
pHを変化させるものを、pH調整のために使われているもののことです。
例えば、アルギニンはアミノ酸の一種で、pHをアルカリよりにする性質がありますが、
アミノ酸として入れている場合はpH調整剤とはいえないってなわけ。
酸性に偏らせるpH調整剤の代表格がクエン酸。
アルカリに偏らせる代表格は水酸化Naかな。
まあ、酸性にするもの、アルカリにするもの、大きく分けて2種類の
pH調整剤があるってのだけわかればよいです。
で、時々、酸性にするpH調整剤と、アルカリにするpH調整剤が入っているものがあるんです。
これ、中和してしまうので、本来は量を調整すれば、どちらかだけでよいんです。
では、なぜそのようなことが起こるのか?
①原料由来
原料に配合されているから、とくにpH調整のためではなく、
勝手に入ってきてしまうって場合。
まあ、この場合は仕方ないですよね。不可抗力です。
②試作時の調整の名残
学生時代の話ですが、割と強酸、強アルカリを扱うこと多くて、
その廃液って、そのまま捨てれないんです。
ちゃんと中和してから捨てる必要があるんですわ。
強アルカリを中和するのに使うのは塩酸、つまり強酸なわけですが、
中性ってのはpH7の1点なわけです。
時には入れすぎて、酸性にしちゃう場合があるんです。
その場合、今度は強アルカリの水酸化Naを使うわけです。
まあ、同じことが化粧品の試作段階で起こるわけですよ。
中性にしようとしたら、アルカリになっちゃった、
また1から作り直すのは原料のムダだし、面倒でもあります。
だったら、今度は酸性のpH調整剤で中和すればいいじゃないって
感じで微調整していくわけです。
で、それを試作としてクライアントに提出し、見事採用された場合、
そのpH調整の名残がそのままで本製造になっちゃうわけです。
③本製造への保険
試作機から本製造へとスケールアップの際、
試作機ではうまく粘性が出たのに、本機ではなんか粘性が低い、みたいな事態が
起こりえるわけです。
稀にではなく、常にそのリスクはあるわけなんです。
特にpHで粘度が変わる増粘剤は多く、それに対応するために、
酸性、アルカリのpH調整剤を予め保険として、両方入れておくって場合があります。
個人的には、どっちかの量を調整するだけで上手く作ってほしいなー
と思ったり、思わなかったり。
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