ヒアルロン酸が紫外線のダメージを抑制するメカニズム
ロート製薬と愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学との共同研究により、
超低分子ヒアルロン酸(HA4)が、紫外線ダメージを受けた表皮細胞が分泌する物質(DAMPs)
による表皮への影響を軽減するということを発表しました。
ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとD-グルクロン酸が交互に連なっている、
多糖類の一種です。
非常に分子量が大きく、100万前後になります。
で、超低分子ヒアルロン酸と呼ばれているものは、
このアセチルグルコサミン、グルクロン酸の組み合わせが2個だけのものを言います。
A-G-A-Gという感じで、分子量は800くらい。
過去に取り上げたことがあるので、詳細はそちらで。
まあ、すでに炎症が起こるとHA4が体内で作られ、
炎症を抑えるってのはわかっていたわけですが、
その具体的なメカニズムを解明したって話。
紫外線などの外部からの刺激を受けると、細胞からダメージ関連物質である
DAMPsを放出します。
DAMPs(damage-associated molecular patterns)は細胞が死んだとき、
もしくは深刻なダメージを受けた時に、処理を促す目的で放出されます。
処理してねーってシグナルなわけです。
これを受けて、免疫細胞なのが出張ってきて、オートファジーが行われます。
ただ、DAMPsは炎症誘発物質でもあり、
サイトカインの産生を高め、炎症を悪化させます。
DAMPsの受容体となる自然免疫受容体(TLR)に、DAMPsがはまって、
一連の炎症反応がスタートするわけですが、
超低分子ヒアルロン酸(HA4)がTLRにはまり込んで、DAMPsの場所を占拠することで、
この一連の炎症反応が始まるのを阻害するってのが、今回明らかになったわけ。
HA4とDAMPsが拮抗するわけですね。
おそらく、DAMPsが発生して、炎症が起こる過程で、
HA4の産生が進み、これによって炎症を抑えるという反応が起こるんでないかな。
つまり、HA4が火消しの役割を担っていると。
じゃあ、はじめからHA4が沢山あれば、炎症を起こさないんでない?
ってな発想で商品展開していくことになるかなー
HA4は分子量が800と角質層を突破できるかどうか微妙な大きさではありますが、
あれこれナノ化処理をすれば、浸透させることはそんなに難しい話ではありません。
化粧品で常にHA4を補うことができれば、外部の刺激による炎症はもちろん、
自然発生する慢性的な炎症も抑制することができ、老化を遅らせることができる
ようになる・・・かもしれませんね。
HA4は体内で作られるものではありますが、
あくまで炎症が起きたら作られるわけで、後手に回るわけです。
そのため、経口投与ではあんまり効果を発揮しません。
HA4で摂取しても、ヒアルロン酸の原料となるだけですし。
そのため、塗布することの意義は大きいと思われます。
HA4が使えるなら使うけど・・・よくわからんのよね、販売元。
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