やる気を司る脳内物質
「やる気」ってのは維持するのが大変です。
コントロールできれば、非常に大きな力となるでしょうが、
まあ、そんなうまい話はないわけで。
今回は、とある脳内の物質の量がやる気に関わってるって話。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校とエディンバラ大学の研究チームよって行われたものになります。
研究チームは無気力、無関心といったやる気の欠如が、
アルツハイマー病や神経変性疾患、精神障害の患者に見られることから、
脳内に「やる気」に関わる何かがあるのではないか?として、
前脳にある側坐核と呼ばれる部分に着目して研究をおこないました。
側坐核は報酬や快感、恐怖などに重要な役割を果たすことが知られており、
やる気の強さにも関連していることがわかっています。
まあ、快、不快を判断するとこで、ヒトの行動原理の基本部分を司ってるわけ。
ちなみに不快を避けるためのほうが、ヒトは行動するといわれます。
ただ、この部分の働きが強い人ほど、嘘をつきやすいともいわれています。
研究チームはやる気を定量化して調査するため、
「やる気と引き換えに金銭を得られるタスク」を設計し、
被験者に金銭的なインセンティブを提示して「やる気を必要とする行動」
に従事してもらうということをしました。
簡単にいえば、報酬によってやる気の差がでることを想定して、
報酬によって、側坐核の反応の差をみようって話。
今回の実験の被験者は20歳~30歳の男性43人。
被験者の脳をプロトン核磁気共鳴スペクトロスコピー(1H-MRS)でスキャンして、
側坐核の代謝物や神経伝達物質などの量を具体的に測定したそうです。
研究チームが脳スキャンとタスクの結果を分析したところ、
パフォーマンスのカギとなった「やる気」の有無が、
側坐核におけるグルタミン/グルタミン酸の比率と相関があることを発見しました。
グルタミンもグルタミン酸もどちらもアミノ酸で、
グルタミン < グルタミン酸だとやる気が継続し、
グルタミン > グルタミン酸だとやる気が継続しない
という傾向がみられたそうな。
つまり、グルタミン酸を多く取れば、やる気がでる?!
という単純な話ではないか。
グルタミン酸はうま味成分。つまり、食事から結構とっています。
血中からは血液脳関門によって弾かれるので、食事から摂取した
グルタミン酸は脳へは届かないです。
神経伝達物質として、脳内で合成されるんだそうな。
ですので、直接ぶち込むでもしない限りは、今のところ
やる気をコントロールする術はないですねー
ただ、グルタミン酸が作業をすることで、減少していき、
やる気が低下するってな感じで「やる気」が調整されているのは確かで、
まさにやる気スイッチなわけです。
まあ、そんなに遠くないうちに、コントロールする方法が出てくると思います。
しかしながら、倫理的に許されるものなのかってのはあるかな?
たとえば、仕事の効率を上げるために、何らかの物質の摂取を強要するとか、
勉強させるために、子供にそれを摂取させるとか、なんか色々アウトっぽくない?