合成セラミドと呼ばれているもの

ラセミ体セラミド

合成セラミドって、よく目にしていると思いますが、

改めて合成セラミドってなんやねんって話をしていこうと思います。

 

高砂香料のヒト型セラミド合成に関わる論文を目にする機会がありまして。

高砂香料は名前のとおり香料メーカーで、前職では非常にお世話になったのですが、

どんなにおいでも再現できる、と豪語しており、オーダー通りの香料を用意してくれます。

で、その技術を応用して、セラミド原料の製造、販売も行っております。

国内で唯一のヒト型セラミドを作っており、セラミド5に関しては世界唯一ではないかと。

 

その論文に合成セラミドの正体が書かれていたわけです。

 

ヒ●ミドとかの販売ページで、ヒト型セラミドと合成セラミドを比較している

データをみたことあると思います。

その比較している合成セラミドってなんやねん?と思ったことはないでしょうか?

多くの人は「ない」でしょう(笑)

 

擬似セラミドのことだと思っている人もいれば、

ヒト型セラミドだと思っている人もいます。

しかしながら、どちらも間違ってはいないのですが、正しくもないです。

 

セラミドが皮膚に必須の成分で、化粧品に応用できるとなったのは、

まあ割と最近の話なんですよ。

で、最初からヒト型セラミドを作れたわけではなくて、

技術的に色々クリアしなきゃいけないことがあったわけです。

 

初期段階で合成されたセラミド、当時はそれがヒト型セラミドだと

思われていたわけですが、これがいわゆる合成セラミドになります。

 

つまり、ヒト型セラミドを作ったと思ったら、ヒト型ではなかったセラミド、

これが合成セラミドになります。

まあ、セラミドのプロトタイプと考えてもらえばよいかな。

 

で、この合成セラミドの正体はラセミ体セラミドになります。

 

自然界に存在するセラミドは、光学活性体のみです。

光学活性体とは、直性偏光をあてると光が回転する性質のある物体。

正直、意味わかんないと思います。

 

光学異性体の話になるんですが、アミノ酸だとD体、L体とありますが、

D体は右に回転し、L体は左に回転します。

よく喩えられるのが右手と左手の関係です。

アミノ酸に関しては右手、左手両方が存在するってこと。

 

で、ヒト型セラミドは右手しかないとイメージしてもらえればわかりやすいかな。

ちなみにD体になります。

 

ラセミ体セラミドは何かって話ですが、右手、左手が両方均等に存在しているもの

になります。

そのため、光学活性がありません。

 

つまり、ヒト型セラミドと非ヒト型セラミドが混在しているもの、

これが合成セラミドってことです。

 

当時はこれがヒト型セラミドだと思われていたわけです。

で、これをモデルに作られたのが擬似セラミドになります。

当時は擬似セラミドはヒト型セラミドと比べても遜色ないといわれていました。

まあ、厳密にはラセミ体セラミドと比較して遜色ないってことだったわけですが。

 

昨今でもそのデータを引っ張ってきて、擬似セラミドはヒト型セラミドと

効果は変わらない・・・なんて言っているところもありますが、

そのカラクリの裏側はこんな感じ。

 

当然、ヒト型セラミドと比較すれば、大きく差がでるのは当然で、

3倍効果があるとかなんとか言えるわけです。

 

論文の内容は、要するに光学異性体を選択的に採取できるようになり、

今まで困難だったヒト型セラミドの合成ができるようになったよってこと。

 

 

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