結合型セラミド

角質細胞と細胞間脂質をつなぐセラミド

角質層は細胞間脂質と角質細胞で構成されています。

脂質とタンパク質という異質な存在で、これらがバラバラのままでは

十分な機能、水分維持やバリア機能など・・・を発揮することはできません。

 

そこで、細胞間脂質と角質細胞を強固につなぎとめるものが存在します。

角質細胞はエンベローブと呼ばれるタンパク質に覆われており、

それと結合するセラミドが存在します。

 

それが結合型セラミドです。 

 

角質細胞脂質エンベロープ(corneocyte lipid envelope:CLE)と呼ばれるものが

近年注目されておりますが、その要となるのが結合型セラミドです。

これにより、バリア層が完成となります。

 

で、この結合型セラミドはどのようにできるかというと、

セラミドの中でも特殊なアシルセラミドをベースに作られます。

アシルセラミドってのは、非常に長い脂肪酸鎖をもつセラミドで、

細胞間脂質のラメラ層を固定する役割を持っており、

保湿、バリア性どちらにも大きな影響を与えるセラミドです。

 

セラミドの分類ではセラミド1、4、9がそれにあたります。

 

 

アシルセラミドからCLE形成に至る代謝経路は、

セラミドに結合したリノール酸部分が、12R-LOXとeLOX3という酵素で、

修飾反応を経て、エポキシアルコール型となります。

 

さらにSDR9C7による水酸基の脱水素反応でエポキシケトン型に変換。

変換した部分の反応性が高くなって、システイン、ヒスチジン、リジンなどの

アミノ酸と結びつくようになります。

 

簡単にいえば、アシルセラミドを素に、酵素によって、

タンパク質にくっつく構造になるよーってこと。

 

 

アトピーや魚鱗癬はアシルセラミドが健常者より少ないことがわかっており、

アシルセラミドが少ないから、バリア性が低く、乾燥すると考えられていましたが、

アシルセラミドが少ないから、結合型セラミドが作られないため、

角質層が安定しないことに由来している・・・のかもしれません。

 

アシルセラミドを補っても、これらの酵素をコードする遺伝子が欠損していたら、

症状が改善しない可能性があります。

 

ほとんどの場合は、アシルセラミドを補えば改善していくので、

もうこれを治療薬として出せばいいんでない?と思いますが、

まあ、値段が値段なので、それも難しいんかねー

 

また、12R-LOXやeLOX3、SDR9C7など、の遺伝子が

どれか1つでも欠けていると結合型セラミドは作れません。

アシルセラミドを補ったとしてもね。

 

ですので、別のアプローチが必要となるわけですが、

現段階では具体的な対策はありません。

研究はされているので、将来的にはもしかしたら解決するかも・・・しれません。

 

結合型セラミドを合成して、塗布するとしても、

角質細胞じゃないものにくっついちゃいそうなので、

直接塗布ってのはなかなか難しいでしょう。

 

これらの酵素を活性化させるものは、おそらく自然界にいろいろありますが、

そもそも、それらの酵素が作れないのであれば無意味ですし。

 

なかなかの難題だと思われます。

 

 

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