マイクロRNA 103a-3p
アメリカのアレルギー学会誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に
掲載されました内容になります。
順天堂大学医学研究科をはじめとする共同研究グループによって、
アレルギー炎症が増悪化し、長引かせる因子を発見し、
その作用機序を解明したと発表しました。
マスト細胞が遊離する細胞外小胞の中にあるマイクロRNA 103a-3pが原因という
ことを突き止めたそうな。
マスト細胞ってのは肥満細胞とも呼ばれます。
粘膜下組織、結合組織などに存在し、造血幹細胞から分化します。
赤血球や白血球と元は同じってわけです。
なんかちょっと不思議な感じが、だからこそ、免疫系にかかわってくるわけです。
細胞外小胞ってのは、細胞膜でできた袋で、その中身が
マイクロRNAだったと。
マイクロRNA(miRNA)とはなんぞやって話ですが、
DNAから情報を引き出すとき、RNAに変換します。
DNAはデータバンクで、必要な情報を紙媒体に起こすと
考えればわかりやすいかな。
このRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)とよばれますが、
中にはタンパク質の情報をコードしていないノーコーディングRNA(ncRNA)
と呼ばれるものがあり、そのうちの短いもの(20塩基くらい)のやつを
マイクロRNAと呼びます。
まあ、タンパク質の情報がない短いRNAという理解でよいです。
普段は、mRNAにくっついて、翻訳を邪魔することで
そのタンパク質の発現を抑制したりします。
同研究で、マスト細胞がアレルゲンで活性化する時に遊離する細胞外小胞中の
miRNAをしらみつぶしに調べたところ、miRNA103a-3pというmiRNAを特異的に
遊離していることがわかりました。
さらに、そのmiRNA103a-3pがどのようにしてアレルギーに関与するかを調べたところ、
2型自然リンパ球からのIL-5産生を増強・持続化させることを突き止めました 。
マイクロRNAをリンパ球が受信、IL-33、IL-5を放出し炎症を促進。
さらにIL-5が好酸球が増加、全身に炎症が拡大という流れなんだそうな。
このマイクロRNAをピンポイントで抑えることができれば、
アトピー、アレルギーの新しい治療薬ができるかも・・・
というお話でした。
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