ウイルスは変異しやすいもの
コロナウイルスの変異株が猛威をふるっていると話題になっていますが、
そもそもウイルスちゅうのは変異しやすいんですわ。
今回はウイルスの突然変異について語っていこうと思います。
遺伝子とは
遺伝子ってのは、その生物の設計図のこと。
遺伝子を司るものはDNAとRNAの2種類あります。
4つの塩基があり、DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)
RNAはTがウラシル(U)になります。
つまり、たった4文字で生命の設計図が書かれているってわけ。
塩基3つで1つのアミノ酸をコードしています。これをコドンと呼びます。
たとえばGAAはグルタミン酸、AUGはメチオニンってな感じで。
DNAとRNAの大きな違いは、DNAは2重螺旋構造を取っていること。
AとT、GとCは対になっており、互いが補完しあう形となっています。
一方、RNAは一本鎖となっています。
変異とは
遺伝子ってのは、結構ダメージを受けやすいもので、
紫外線によって、DNAないしRNAは損傷してしまいます。
また、化学物質によっても損傷することがあり、発がん性ってのは、
この遺伝子を変異させてしまう性質のあるものを指します。
また、分裂の際、遺伝子の複製ミスでも変異は起こります。
コピーミスですね。
1日に3000回くらいの割合で起こります。
まあ、これもガン細胞が生まれている個数と同じです。
コピーミス=ガン化といってもいいです。
これが生殖細胞で起これば、突然変異の原因となります。
なぜ、ウイルスは変異しやすいか
一番大きな理由は遺伝子がRNAだから。
ウイルスにもDNAを遺伝情報としているものもいますが、
これらは変異しにくいです。
例を挙げると、天然痘ウイルスはDNAを持っています。
天然痘ウイルスは人類の歴史で唯一、封じ込めが成功したウイルス。
人類が唯一勝利した例でもあります。
宿主が人間以外いないってのも大きな要因ですが、
遺伝子がDNAだったため、変異しなかったってのも1つの要因です。
DNAは2本鎖になっており、片方がもう片方を補完しています。
一方の塩基が欠けたとしても、もう一方があるので、正しく修復されます。
A-T、C-Gとなっているので、その穴に入ることのできる塩基は決まっているわけ。
A-TのTが欠けたとしても、A-CとかA-Gとかには絶対ならないんです。
一方、一本鎖のRNAは変異が起きたら、そのまま。
直ちに影響がでるわけです。
もう1つは、変異の影響をすぐに受けるってこと。
多細胞生物にとっては、変異ってのは異物化なわけで、
基本的には免疫システムによって排除されます。
また、生殖細胞への変異があったとしても、
生存に欠かせない部分の変異があった場合は、
その個体は生存できません。
しかし、単細胞の場合は、変異が直接的なことになるわけです。
ウイルスは細胞ではないですが、まあ似たようなものです。
ウイルスってのは、宿主に感染する、宿主の複製システムを乗っ取る、
この2つの機能があれば、あとはどこが変わっても影響はないんです。
変異に強いとも言えます。
また、遺伝情報が少なく、1つの塩基が変化することの
相対的影響は大きいわけ。
ヒトの遺伝子は30億個の塩基からできていますが、
インフルエンザは2万個くらいです。
コロナは1.6万個くらいだったと思います。
変異するとどうなる?
変異自体は完全ランダム。
特に意図して変化しているわけではないです。
ただ、感染しやすいほうが増えやすくなるのは当然の話。
たとえば、今回の件は3密を避け、こまめに消毒して、マスクを着けて生活することで、
コロナウイルスの感染を予防したわけで、一定の効果があったわけです。
そんな環境下で生き残ったのは、感染力の強いやつってのは当然で。
見方を変えれば、感染力の強いウイルスをスクリーニングしているとも言えます。
おそらく、今回の件は体内での複製数が多くなっているやつだと思われます。
従来のものよりもたくさんできて、たくさんばら撒くってなタイプ。
そのため、感染力が強く、重症化もしやすいんでないかな。
コロナ対策をしっかり厳密に行えば行うほど、
感染力の高いウイルスが生まれやすくなるってのは皮肉な話ですけどね。
遅々として進まないワクチン接種ですが、
これがちゃんと実施されれば、一段落はします。
ただ、今度はできた抗体が効かない変異体がでてきます。
それしか生き残れないわけですから、必然です。
まあ、このイタチごっこを繰り返しているわけっすよ。
人類の歴史で何度も何度も行われていることを、
今回は過剰ともいえる反応をしてしまったが故に、
問題が長引く結果を招いたわけですよ。
一度気になったものを、気にするなってのは無理な話ですが、
適当なとこで落としどころを見つけないと、永遠に引きずることに
なるんですよねー
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