疑似セラミド、唇のあれへの効果を確認
花王からの発表ですな。
唇のセラミド組成とアトピーのセラミド組成は近いものがあるそうな。
アトピーは唇のようにバリア機能、保水性が弱いってことなんですが、
じゃあ、セラミドケアが有効なのでは!?ってな着眼点からの研究だそうです。
研究内容はInternational Journal of Cosmetic Scienceに掲載されています。
The efficacy of synthetic pseudo-ceramide for dry and rough lips
疑似セラミドはセチルPGヒドロキシエチルパルミタミドを使用。
花王独自のオリジナル原料です。
ブランクは0%、低濃度は0.5%、高濃度は2%、疑似セラミドが配合されています。
N-(Hexadecyloxyhydroxypropyl)-N-hydroxyethylhexadecanamide | – | 0.50 | 2.00 |
Paraffin wax | 7.00 | 7.00 | 7.00 |
Synthetic hydrocarbon wax | 3.00 | 3.00 | 3.00 |
Ceresin | 2.00 | 2.00 | 2.00 |
Diisostearyl malate | 20.00 | 19.90 | 19.50 |
Isotridecyl isononanoate | 20.00 | 19.90 | 19.50 |
Mineral Oil | 5.00 | 5.00 | 4.90 |
2, 6-Di-tert-butyl-4-methylphenol | 0.03 | 0.03 | 0.03 |
Decanoic acid, 2, 2-dimethyl-1.3-propanediyl ester | Balance | Balance | Balance |
100.00 | 100.00 | 100.00 | |
Occlusivity (%) | 64.1 | 65.5 | 63.1 |
使用したリップクリームの処方は上から順に
セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド(疑似セラミド)
パラフィン (固形油)
合成ワックス(固形油)
セレシン(固形油)
リンゴ酸ジイソステアリル(界面活性剤)
イソノナン酸イソトリデシル(界面活性剤)
ミネラルオイル(油剤)
BHT(酸化防止剤)
Decanoic acid, 2, 2-dimethyl-1.3-propanediyl ester(よくわからん)
たぶん防腐剤的な何かだと思われます。
合計で64.1%となっているので、残りは水です。
で、結果が一番最初の図になるわけですけど、
4段階評価で、0:荒れてない、1:かさつきあり、2:皮むけあり、3:荒れている
被験者は31人で、グループを3つに分けて、ブランク、0.5%、2%をそれぞれ1日4回、
4週間使用した結果になります。
図をみて明らかですが、疑似セラミド高濃度の連続使用で、
唇の改善が見て取れます。
濃度依存で回復傾向にあるといえそうです。
さらに、合成擬似セラミド高配合サンプルの連用による、
唇に存在するセラミドの組成変化を確認しました。
その結果、唇のバリア能が低いと増える傾向があるセラミドNSが減少し、
水分量が高いと増える傾向があるセラミドNHとセラミドNPが増加したこともわかりました。
といっても、かなり微妙なデータではありますが・・・
セラミドNSはセラミド2、セラミドNHはセラミド8に該当します。
小林製薬へのけん制なのかもね。
あとは、疑似セラミドがどのくらい唇に残っているのか確認したところ、
連続使用2週間目が多く、4週目には減少傾向にあったとか。
唇が荒れているほうが、残りやすいってことではないかと考えているようです。
これらの結果から、従来は唇に蓋しとけばよい、
ワセリンとか塗っとけばケアできると考えられてきましたが、
そうではないってこと。
蓋するだけではいつまで経っても唇のかさつきは改善されない・・・と。
もう1つは疑似セラミドの有用性が示されたわけですが、
あくまで花王の疑似セラミドであって、他の疑似セラミドでは
どうかってのは検討の余地があるかなー
ただ言えるのは、疑似セラミドが表面で膜を作ることで
唇の荒れを改善していくってこと。
ですので、他の疑似セラミドでも十分効果はあるのではないかと
推測されます。
これは唇の代謝が非常に速いってことに関連しているのではないかと。
通常、肌のターンオーバーは28~40日といわれますが、
唇は3日くらいです。
セラミド合成を促進する系のものも、かなり有効性が高いのではないかな?
ナイアシンとか馬セラミドとかを組み合わせると、よりよい商品ができる
のではないかなーと思われます。
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