ニキビができるメカニズム
ニキビの原因はアクネ菌、という認識をしている人は多いと思います。
確かにアクネ菌が原因の1つではあるのですが、それだけではないのです。
そもそも、アクネ菌は普段は善玉菌といえる働きをしています。
毛穴にいて、皮脂をエサとして食べてくれることで、毛穴をふさがないようにし、
さらに代謝物で毛穴を弱酸性に保ちます。
また、脂肪の分解物としてグリセリンを排出するので、肌のうるおいを保つのにも
一役買っています。
そんなアクネ菌が悪さをするようになるのは、2つの原因があるといわれます。
1つは毛穴が塞がること。
アクネ菌は嫌気性の細菌で、酸素を嫌います。
嫌気細菌として有名なのは乳酸菌で、こいつは酸素に触れると死滅します。
一方、アクネ菌は酸素下でも生存できるのですが、菌にとっては
酸素がない状況下のほうが望ましいというわけ。
で、毛穴が閉塞することで酸素が少ない状況下になると、
アクネ菌が増殖しようとして活性化します。
もう1つの原因は、アクネ菌のタイプ。
最近の研究でアクネ菌はタイプⅠ、Ⅱ、Ⅲの3種類の型に分類できることがわかっています。
どのタイプも好気性環境下では悪さをしないのですが、タイプⅠだけは
嫌気性環境下で毒素を出します。
つまり、ニキビのできやすい人、できにくい人の差はアクネ菌のタイプの差ってわけ。
で、この毒素なんですが、CAMP(キャンプ)ファクターと呼ばれます。
CAMPはこの毒素の発見者4名の頭文字からとったものだそうな。
このキャンプファクターは免疫細胞であるマクロファージや好中球の細胞膜に
穴をあける作用があります。つまり免疫細胞に喧嘩を売るわけです。
アクネ菌が増殖するには免疫細胞が邪魔ってことなのでしょう。
これに対し、当然ではありますが免疫が反応するわけです。
逆にキャンプファクターさえ作らなければ、アクネ菌に免疫が反応することはないです。
ニキビとして膨らむのは、そこにアクネ菌を一掃しようと免疫細胞が集まるから。
そして赤くなるのはアクネ菌を攻撃するために活性酸素を作り、それを引き金に
炎症反応が起こるから。
膿はアクネ菌と免疫細胞の死骸となります。
よくアクネ菌が増えるからニキビになるといわれますが、
正確には増えようとして、免疫が反応したからニキビになるわけです。
ですので、アクネ菌の数としては、正常時とニキビ下では
ほとんど変わりません。
アクネ菌はグリセリンを資化できる、だからグリセリンはニキビができやすくなる
という話がありますが、実際にヒトの肌でグリセリンによってアクネ菌が増える
ことはないですし、毛穴が閉塞し、キャンプファクターが作られない限り、
ニキビになることはないです。
また、化粧品でニキビができたという話も、化粧品の成分云々ってことではなくて、
毛穴が閉塞した結果だということ。
毛穴が閉塞したことと化粧品の間に因果関係があるかはわからんけどね。
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