皮膚の菌移植、可能なのな
中等症ないし重症の成人アトピー性皮膚炎患者に
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌を移植することで、
アトピーの改善効果があったという報告がありました。
理論的には皮膚への菌移植は可能ではありましたが、
実際にやってみたって話は初めて聞いたかも。
コアグラーゼってのは菌体外酵素の1つであり、血漿凝固作用があります。
おもに黄色ブドウ球菌がコアグラーゼを作ります。
陽性はコアグラーゼを作り、陰性はコアグラーゼを作らないってこと。
で、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌とはなんぞやというと、
表皮ブドウ球菌のこと。
いわゆる肌の善玉菌と呼ばれとる菌です。
コアグラーゼによる分類は非常にざっくりしたもので、
黄色ブドウ球菌とそれ以外のブドウ球菌って分け方。
それ以外のブドウ球菌は人の皮膚から14種類見つかっているそうで、
そのうちのどれかはちょっとわからん。
ここをはっきりさせとかないと、再現性に問題がでてくるんでないかな?
実験はいたってシンプル。
中症ないし重症のアトピー患者に表皮ブドウ球菌を移植。
移植群と無移植群を無作為にわけて、黄色ブドウ球菌の数を調べるというもの。
アトピーの原因の1つとして黄色ブドウ球菌が挙げられているので、
黄色ブドウ球菌を抑制できれば、アトピーの改善ができるのではないか?
という着眼点の下に行われた実験です。
対象者は11名の成人。
サンプル数としてはだいぶ少ないです。
期間は1週間とこちらも短い。
結果としては、移植群のほうは無移植に比べ、
黄色ブドウ球菌が99.2%減少したそうな。
まあ、効果テキメンって感じです。
実際の湿疹面積、重症度指数のスコアも有意に改善されたそうな。
対象人数が少ない、期間が短いという問題点はあるにせよ、
有効性を示唆するには十二分な結果が出たわけよ。
表皮ブドウ球菌も菌であることには変わらず、
健常者には問題ないんですが、免疫の状態が悪いと
体内に入り込んで悪さするわけです。
ですので、表皮ブドウ球菌を塗布すればいいんじゃね?という発想はできても、
実際にするのは難しい側面があるんです。
それを実際にやってみたってところに大きな価値があると
個人的には思います。
あとは再現性の問題か。
そう遠くない将来で、実際にアトピーの治療に菌移植が
行われる日が来るかもね。
【関連記事】