化粧品開発、1年は長い?短い?

1つの商品ができるまで、どのくらいかかる?

とある牛丼専門店が10年の歳月をかけて完成したと話題の

親子丼を食べてきたんですよ。

 

正直にいえば、普通。

なか●の親子丼のほうが10倍くらいおいしいです。

(あくまで個人の感想です)

 

一切妥協せず、時間とお金と労力をかけて誕生したってことを

知ってほしいという気持ちはわかります。

しかし、商品価値を上げるはずの「10年」というコピーが

10年かけてこの程度かーというマイナスの印象になってしまう

こともあるんだなーと思ったりして。

 

 

さて、本題ですが、あなたは化粧品開発にどのくらい年月がかかる

思いますか?

 

とある商品で、開発までに「1年も」かかったと主張していたわけよ。

 

 

個人的には「え?普通それくらいじゃね?」と思ったのですが、

一般的な感覚と自分はズレているのでは?と思ったわけなんです。

あなたは「1年」に対し、長いと感じるのか、短いと感じるのか、

どちらでしょうか?

 

なお、どこをスタートとするかですが、

OEMメーカーに依頼した時点をスタートといたします。

頭の中で、こんな商品あったらいいなー、この原料使いたいなー

と夢想している期間は除きます。

 

 

OEMメーカーに新規案件として持ち込まれるものは、

「こんなの作りたい」という具体性の欠片もない場合がほとんどです。

 

正直、化粧品に詳しいって場合は稀で、最初の打ち合わせでは

方向性と予算が決まるだけで、企画を練る段階から始まります。

 

しかしながら、企画力のある人材ってのはどこも不足しており、

クライアントに刺さる企画を提案できるところは、

まあ、ないと思ってもらって差し支えないです。

 

で、過去に作ったものの中から、チョロッと変えた処方を提案することになります。

まあ、このデータの蓄積量がそのメーカーの技術力、開発力といっても過言ではないです。

 

この間で1月は過ぎます。

当たり前の話なのですが、この1件にかかりつけってわけではないです。

複数の案件を平行しているわけで。

 

つまり、最短で処方が決まるのに1カ月。

ここのすり合わせがうまくいかないと、全然前に進みません。

ここで時間がかかる案件は、流れることのほうが多いです。

 

処方が決まると、試作に入ります。

早ければ1、2週間で上がってきます。

ただ、1回の試作でOKとなることはないです。

 

なお、この試作はビーカーなどで混ぜ混ぜするので、

担当者の熟練度によって、進捗が大きく変わります。

ベテランの場合は失敗はほぼないですが、

新人の場合は失敗する確率のほうが高いです。

春先は新人に割り振られる可能性があるので、

せいぜい気をつけてくださいな。

支給原料をパーにされたことは1度や2度ではないです。

 

試作品が合格するまで繰り返すのですが、

1回の試作から再試作までだいたい1カ月くらいかかります。

実際に使ってみないとわからないので、試す時間も考慮すれば、

もう少しかかるかもしれません。

 

最短で2か月くらいかな?

まあ、ここで平気で半年くらいかかるんですけどもね。

 

試作でOKがでたら、容器を決めるわけですが、

これも時間かかるんよなー

試作と並行して決めとけよと思うかもですが、

実際に商品化するかどうかわからんわけで、

試作が確定しない段階は、「こいつホントに作る気あるんか?」

と疑心暗鬼な状態なんすわ。

 

なんやかんやで1ヶ月くらいはかかります。

昨今では容器の納期がタイトなので、入荷まで半年かかるとか

場合によってはあります。

 

容器が決まったら、ラベルの作成に取り掛かります。

これもめっさ時間かかる。

OEMメーカーで読み合わせするんですが、誤字脱字等の添削をしてもらって、

それの通り修正するわけですが、また別のところの修正が入ります。

1度で全部挙げてこいと思うんですが、このやり取りを2、3回はします。

 

最短でも1カ月はかかります。

 

ここでようやく発注できるわけです。

発注から、製造まで最低1カ月はかかります。

普通はもっとかかる。

 

すべてにおいて、滞りなく行っても半年以上かかるわけです。

まあ、そんなことは奇跡といえるレベルなので、

1年で製品化できれば、まあ順調だと個人的には思うんですよね。

 

OEMメーカーとしては、受注まで売り上げがたたないわけで、

その間は無償で仕事していることになるんですよ。

製造までに時間がかかったってのは、正直、OEMからしたら

迷惑な話でして・・・

 

 

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