パルミチン酸レチノールには紫外線吸収効果がある!?

あったとして、敢えて使う必要性あるか?

「パルミチン酸レチノール2%はSPF20ぐらいの効果がある」

とSNSで話題になっているそうで、これって本当なの?

というご質問をいただきました。

 

パルミチン酸レチノールはレチノール誘導体で、

皮膚で加水分解されることでレチノールとなり、

最終的にはレチノイン酸へと変換されます。

代謝を促進させることで、抗シワ作用を発揮するとされます。

 

ビタミンA(レチノール)は体内ではパルミチン酸レチノールの

形で存在しており、これが紫外線吸収剤として働くとのこと。

 

結論からいえば、安全性の高い紫外線吸収剤が色々あるなか、

わざわざパルミチン酸レチノールを紫外線吸収剤として使う

必要性は皆無だってのが個人的な見解です。

 

パルミチン酸レチノールに紫外線吸収剤としての効果が

仮にあったとしても、2%での使用は現実的ではありません。

通常は0.1~0.2%くらいの濃度で使われていて、

通常の10倍濃度では、レチノールより刺激性が低いとしても、

いわゆるA反応が起こる可能性は高いです。

 

レチノールは酸化しやすい成分で、酸化したレチノールは

肌にとっては有害な物質。

光での反応性も高いので、レチノールを使用するときは

日焼け止めが必須となります。

 

パルミチン酸レチノールはそういったレチノールの弱点をカバーする

成分として使われているわけですが、あくまで比較がレチノールであって、

安定性が抜群に高いわけではないです。

酸化はしにくいですが、紫外線により反応性が活性化することは十二分にあります。

紫外線が確かに吸収するかもしれませんが、それによってできた物質が

安全であるかというと、そうではない可能性があります。

 

パルミチン酸レチノールに紫外線吸収効果があるという論文は

確かに存在します。

一方で、発がん性があるとの論文もあります。

 

ぶっちゃけ、これらの議論は未だ決着がついていない状態で、

どちらの可能性もあるという状態。

 

つまり、紫外線吸収剤として使えるかもしれないし、使えないかもしれない、

発がん性、光毒性があるかもしれないし、ないかもしれない・・・

という状態で、「効果はあって安全だ」にベットするのは、

ギャンブルで、リスクを伴うわけです。

 

そのリスクをとってまで、パルミチン酸レチノールを紫外線吸収剤として

使う必要性はないと個人的には思うわけですよ。

 

 

おそらくではありますが、パルミチン酸レチノールの美容液が

日焼け止めも兼ねるってことでオールインワン的なことを

謳いたいのだと思われます。

 

しかしながら、代謝促進は夜寝ているときにこそ真価を発揮するわけで、

わざわざ昼間につけておくのは合理的ではないです。

 

抗シワ効果で使用するのでしょうから、紫外線を吸収して

壊れてしまったら、効果はなくなってしまうわけでして、

パルミチン酸レチノールを守るために、どのみち日焼け止めは必要で。

 

結局、パルミチン酸レチノールを日中使うことにメリットはないわけ。

 

ちなみに、通常化粧品で使われる濃度であれば、全然問題はないんです。

光毒性とか気にせず、日中使っても大丈夫です。

(日焼け止めは必須ですが)

ただ、2%とかで日焼け止めとして使うのは、正気の沙汰ではないです。

 

 

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