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合成遺伝子組換オリゴペプチド-91ボツリヌス菌ポリペプチド-1

小難しい話をします

変な原料使ってんなー

「ボツリヌス菌を安全に遺伝子組換したペプチド」ってな説明なんですけど、

誤訳かなんかなんかね?

 

色々説明が必要な原料ですの、ちょっと解説していきたいと思います。

 

まずはボツリヌス菌は学名Clostridium botulinum、

土壌に普通に存在する細菌で、嫌気性です。

ボツリヌストキシンという毒素を生成することから、

ボツリヌス症を引き起こします。

有名なところでは赤ちゃんにハチミツは食べさせるなって話がありますが、

ハチミツにはボツリヌス菌の胞子が存在しており、

免疫の弱い赤ちゃんは体の中こいつが増えて、毒素を産生して

中毒症状がでてしまうからなんですよ。

 

ボツリヌストキシンは分子量15万ほどのタンパク質で、

A~Gの7種類の型が存在します。

ヒトに対して毒性があるのはA、B、E、Fですが、

美容関係ででてくるのはAになります。

コリン作動性神経末端からのアセチルコリンの放出を抑制する、

いわゆる神経毒になります。

アセチルコリンってのは神経伝達物質です。

 

ちなみに、自然界に存在する毒素で最も強力といわれ、

致死量は0.1μg/kgといわれます。

タンパク質なので熱に弱く、加熱することで無毒化できます。

 

1gあれば100万人の致死量となるといわれており、

当然生物兵器への転用が過去に模索されています。

ですので、ボツリヌス菌を一般人が遺伝子組換えするってのは

現実的に無理だと思われます。

たしかレベル2以上の設備でないと扱っちゃダメだったような。

 

実際には大腸菌を遺伝子組換えしていると思われます。

オリゴペプチド-91、ボツリヌス菌ポリペプチド-1(ボツリヌス毒素A)

をコードしている遺伝子を大腸菌のプラスミドに導入することで、

大腸菌にこれらのタンパク質を産生させます。

 

プラスミドってのは、大腸菌の遺伝子群とは独立した環状の遺伝子なんですが、

生存競争に生き残るため、周りの遺伝子を簡単に取り込むことができるように

しているものです。

O-157はベロ毒素を生成することで中毒を引き起こす大腸菌ですが、

このベロ毒素は元々は赤痢菌が作る毒素。

この遺伝子をプラスミドに組み込まれたことで大腸菌がベロ毒素を産生する

能力を獲得しています。

まあ、遺伝子組換えしやすいんですよ、大腸菌って。

 

オリゴペプチド-91は21個のアミノ酸からなるペプチド。

正直、これが何なのか、どんな作用をするのかはわからん。

ボツリヌス菌ポリペプチド-1はボツリヌス毒素Aのことで、

アミノ酸1000前後からなるタンパク質になります。

 

で、この2つの遺伝子をくっつけたものを大腸菌にぶち込んで、

新規のタンパク質を作らせたってなわけ。

つまり、ボツリヌス毒素Aにオリゴペプチド-91をくっつけることで、

毒性を無くしたってわけ。

安全にしたと言い換えることもできるかも。

 

神経毒性を利用して、表情筋を弛緩させることでシワを伸ばすってのが

ボトックス注射なわけですが、その毒性を無くしたものって、

一体何の意味があるのやら。

 

また、高分子になるため浸透することはないです。

これの効果ってのはかなり疑問視されるわけですよ。

 

 

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