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疑似セラミドをナノ化して浸透させる

これは悪魔的発想だ

疑似セラミドは別に悪いものではないです。

まず、価格がヒト型セラミドと比べると圧倒的に安い。

また、皮膚表面でラメラ層を形成することで、

高い保湿性、バリア能をもたらします。

まあ、疑似的な細胞間脂質が肌表面に作られるって感じです。

浸透しないので、敏感肌や肌荒れの方でも使うことができると

いうのも大きな利点ではあります。

 

そんな疑似セラミドを浸透させるとか正気か?

何と愚かなことを・・・

と最初は思いましたが、これは緻密に計算された処方だったわけです。

 

 

 

疑似セラミドを非常に高濃度で配合し、それらをリポソーム化しています。

リポソームってのはこんな感じ。

こちらは多重層リポソームになります。

疑似的な生体膜を形成させ、ナノサイズにする手法です。

 

疑似セラミドというくらいなので、セラミドと同様に疎水部に

存在することになります。

そのため多重層にする必要があるわけですね。

 

ナノサイズと非常に小さく、疑似的な生体膜なわけで、

肌への親和性も高くなります。

ぶっちゃけ、角質層を抜けて真皮まで届くのですが、

届いても意味はないです。

 

で、ナノ化して浸透しないはずの疑似セラミドをわざわざ浸透させると

何が起こるかというと、疑似セラミドがセラミドに代わってラメラ層に

食い込んでいきます。

 

セラミドが不足していると、その隙間を埋めてくれるので、

即効で乾燥を抑えてくれます。

ポイントはここで、この商品を使う層は乾燥に悩んでおり、

当然肌のセラミドが不足しています。

そのため、高い効果を実感させることができます。

 

ただし、正常なヒトセラミドで構成されているラメラ層に比べれば、

疑似セラミドで応急措置をしたラメラ層はバリア能も保水力も大きく劣ります。

極端な図ではありますが、疑似セラミドはあくまで疑似セラミドで、

ヒト型セラミドではありません。

本来は異物以外の何物でもないわけです。

それが高濃度で角質層に侵略してくるわけで、

肌に良いわけないのは明らか。

 

で、この状態を改善するには、ターンオーバーで肌が生まれ変わるのを

待つ以外にないです。

セラミドを外から補っても、疑似セラミドを押しのけて取って代わる

ってことはないです。残念ながら。

 

当然、使い続ければ、ずっとこの状態が続きます。

そうなるとバリア能が低下するので、肌荒れが起こりやすくなるのですが、

その対策として抗炎症剤ががっつり配合されています。

これにより、バリア能の低下を気づかせないだけでなく、

もう1つ大きな利点があります。

 

それは、あくまで抗炎症剤で炎症を抑えている状態になるので、

止めたら抑えられていた炎症が一気にぶり返します。

そしてこの炎症を変えた商品のせいだと勝手に勘違いしてくれます。

 

で、帰ってきて使用すれば、炎症が抑えられるので、

これ以外は使えない、一生手放せない、ってなるわけさ。

 

まとめると

①疑似セラミドが細胞間脂質の隙間を埋めるので、乾燥が緩和する

②疑似セラミドがセラミドのラメラ層を乱すので、本来の細胞間脂質の

機能性から大きく劣る状態になる

③ヒト型セラミドが効かない肌状態になる

④使い続けることで、不完全な細胞間脂質が維持される

⑤抗炎症剤によって、機能低下を誤魔化す

⑥止めると炎症するので、依存状態になる

 

と、ここまで計算して作られている商品だってこと。

ビジネス的な観点からは、まさに理想的な商品ではありますが、

倫理的にはク●ですわな。

 

 

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