クロトーの投与試験はすでに始まっている
2017年8月に発表された論文になるんですが、
クロトーの少量投与が神経変性疾患における認知的機能の改善に
繋がる可能性があるとする研究論文が発表されています。
クロトーとは抗老化ホルモンと呼ばれるもので、
クロトーがなければ、生後すぐでも老化が始まることから、
老化を止める鍵となっているタンパク質です。
遺伝子組換えでノックアウトマウスを作ったり、あるいは過剰発現するマウスを
作ったりという話があったのですが、すでにクロトー自体を投与している
動物実験が行われていたということに、驚いたわけです。
こちらの内容は『Cell Reports』に掲載されたものなります。
まだまだクロトーってそんなに注目されていないものなので、
そこまで話題にはならんかったみたいです。
過剰にクロトーを発現したマウスは認知力が強化されることが知られており、
クロトーを投与することで、認知症の改善効果が期待できるのではないか?
ってなことで、これを確認した研究となります。
研究内容は、まずは脳へとクロトーが届くかどうかを確認したところ、
クロトーは血液脳関門を通過できないことが確認されました。
続いて、若いマウスにクロトーを注射で投与したところ、
劇的に学習能力が向上するという結果になりました。
しかも、投与してすぐに確認されました。
これはクロトーを過剰発現させたマウスでも同様のことが
確認されていることから、クロトーが記憶力や空間認知能力などを
高める効果があるのことを示唆しています。
また、即効性だけでなく持続性も高く、投与後2週間以上は効果を持続したとのこと。
同様に、老化したマウスでも同様の実験を行った結果、
若いマウスと同様、学習能力の向上が見られました。
続いて、認知障害をもたせたマウスでも同様の実験をした結果、
これまた学習能力が向上し、認知障害の改善が見られました。
あとは、具体的なメカニズムの解明を試みた実験になりますが、
正直何言ってるのかよくわからん。
海馬のNMDARに作用するとかなんとか。
まとめると、クロトーを投与することで脳の機能を高めることができるということ。
それを利用して認知障害などへの治療薬となる可能性があるというもの。
当時はヒト投与への課題が多々あり、まだこの先へと進める段階ではなかったようですが、
今はどうなんでしょうねえ?
将来的に認知症の治療薬としてクロトーが使われる日がくるかもしれません。
また、仮にクロトー遺伝子を複数組み込んだヒトを作ったら、
老化が非常に遅いだけでなく、頭のいい人間になる可能性が高いです。
ある意味ヒトの上位互換といっても過言ではないわけで。
まあ、すでに作っちゃってるとは思いますけどね。
数十年後に「私は遺伝子操作されて生まれてきた」なんて
告白を聞く日が来るかもしれません。
まるでジョージ・グレンのように。
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