表皮幹細胞の老化を制御できる?!

YBX1がリン酸化が老化の原因?!

資生堂とマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所の共同研究により、

表皮幹細胞の老化を抑制するRNA結合タンパク質YBX1がリン酸化により機能低下し、

細胞老化を引き起こすことを明らかにしたとの発表がありました。

 

さらに、YBX1のリン酸化を抑制することで表皮幹細胞が増加することを明らかにし、

表皮幹細胞の量を維持するためには、表皮幹細胞の「質」も重要であることが示唆されました。

 

YBX1とは何ぞやって話ですが、Y-box binding protein-1の略で、

DNAやRNAに結合し、転写や翻訳を制御するといわれているタンパク質になります。

リン酸化とはリンがくっつくこと。

これは可逆的反応で、酵素を介してリンをくっつけたり外したりすることで、

ON/OFFの制御をしています。

 

リンは老化に関わっているといわれており、

リンが過剰になると老化が促進されるといわれています。

実際、クロトー遺伝子欠損マウスはリンの排出ができず、

生後2ヶ月足らずで老化によって死にます。

 

 

これまでの研究でYBX1が減少すると表皮幹細胞が老化することを

明らかにしていたわけですが、今回はその原因を明らかにしたって感じです。

 

その原因がYBX1のリン酸化であったわけですが、

もともとYBX1はリン酸化によって制御されており、

使用時に脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)によってリンが外れ、

機能を発揮しているのだと思われます。

 

リンが過剰にあるのか、リン酸化酵素が増えるもしくは活性化するのか、

脱リン酸化酵素が減るもしくは不活性化する、のどれかが原因で、

結果としてリン酸化したYBX1が増えるのだと思われます。

 

 

YBX1のリン酸化は活性のあるYBX1の減少を意味し、

その結果、適切な転写、翻訳が行われず、必要なタンパク質の

合成ができないという状況となり、これが老化を促すのだと考えられます。

 

加齢以外にも直射日光によりYBX1のリン酸化が進むことがわかり、

光老化の一旦はYBX1のリン酸化によるものあることが示唆されました。

 

 

リン酸化を防ぐ薬剤を加えることで、

表皮幹細胞の老化を抑えるだけでなく、増殖も促せることが

確認されました。

今後、おそらくはリン酸化を防ぐ効果のある成分のスクリーニングを

行って、化粧品への応用に使われることでしょう。

 

 

ただ、リン酸化酵素と脱リン酸化酵素は拮抗しており、

そのバランスをとっている奴がいるはずなんですよね。

 

たとえば、骨芽細胞と破骨細胞のバランスを取っているのが

女性ホルモンなわけですが、この女性ホルモンにあたる

何かが存在すると思われます。

 

突き詰めれば・・・おそらくはクロトーにたどり着くんだろうなー

ってのを感じたわけです。

 

まあ、どんな成分で化粧品を作ってくるのかってのは

楽しみではあります。

 

 

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