ビタミンCの血中濃度を高く保つ方法
ビタミンCは体内で合成できないので、必須ビタミンとなります。
そのくせ、体内で保持できないため、過剰分は尿で排泄されます。
遠いご先祖様がビタミンC合成経路の最後の段階で働く酵素(グロノラクトン酸化酵素)
の遺伝子を欠損してしまっており、それを引く継いでしまったため
ヒトはビタミンCを合成できないわけ。
サルも同様にビタミンCを合成できないことから、ヒトはサルから進化した
って話の根拠の1つにもなってます。
ヒトのビタミンCの1日の必要量は50~60mgとされます。
ただ、吸収されたものは速やかに排泄されてしまうので、
体内利用率は非常低いとされます。
2~3時間くらいしか体内に留まっていないといわれます。
そこで、如何にビタミンCを体内に留めるかって研究は
世界中のいたるところで行われています。
①打錠の分解性を著しく悪くする
通常、打錠は20~60分くらいで胃酸で溶けるようにできています。
薬だと30分以内に溶けないといけないとかいうルールがあったと思います。
それを8時間かけて溶けるように設計することで、
ゆっくりビタミンCを吸収させ、無駄をなくすというわけさね。
問題は体内でも同様のことが起こるのか?ってこと。
通常は人工胃酸と人工腸液を使用して崩壊性を調べるのですが、
こちらはメタリン酸Naで崩壊性を調べているわけです。
また、ゆっくり崩壊したからといって、理論上通りに
ビタミンCが吸収されるのか?という問題もあります。
理論的にはそうなるんでしょうが、実際に体内利用率を調べた
わけではないので、どうなのかは神のみぞ知るって感じ。
②リポソーム化して超吸収させる
疑似的な生体膜でビタミンCを包むことで、
吸収性を著しく上げることができます。
胃酸で壊れがちなビタミンCを膜で守り、
ナノサイズなので腸での吸収がよく、
結果として非常に多くのビタミンCを血中に乗せることができます。
限界を遥かに超えて吸収させ、血中濃度を限界突破させれば、
排出量は変わらないため、長くビタミンCを体内で保持させることが
可能というわけです。
ただ、欠点としてはリポソーム化にコストが鬼かかるので、
製品としては非常に高額になります。
ビタミンCで数万円出せるか?ってのが問題になるかな。
③ビタミンC誘導体を使う
化粧品でよく使われているビタミンC誘導体の1つで、
ビタミンCに糖をくっつけたものになります。
糖を切り離すには腸内細菌の力が必要で、
吸収までに時間がかかることになります。
①が物理的に吸収を遅くするのに対し、これは化学的に吸収を
遅らせるって感じです。
問題は腸内環境に依存するってことで、腸内環境が悪いと
吸収することができません。
例えば、アントシアニンやイソフラボン、サポニンなんかも配糖体となっており、
高齢になるほど吸収率が落ちるため、発酵なので予め糖を外すというのが主流となっています。
まあ、血中濃度を維持するというデータがでているので、
健常者であれば問題はないんでないかな。