老化細胞が増えるのが先か、老化が先か
ちょっと面白い研究発表があったのでご紹介を。
日本メナード化粧品と藤田医科大学と共同で、10~80代を対象に
皮膚の老化細胞の個数について解析しました。
その結果、30歳頃から皮膚の老化細胞の数が増え始め、
その後、蓄積が加速していくことを明らかにしました。
老化すれば老化細胞が増えるのは当たり前じゃん?
と思うかもしれませんが、どちらが先かって問題があるわけです。
老化細胞は役目を終え、自身を処理するようにメッセージを出します。
それを受けて、免疫が活性化しマイクロファージによって処理されます。
このメッセージ物質は炎症誘発物質でもあり、
長期それが放置されると、周りの細胞も同じ物質を出し始めます。
まるで老化が感染するかのような現象が起こります。
ですので、老化細胞が蓄積しなければ、老化細胞を除去すれば
老化は進まないのでは?
ってな前提があるわけですよ。
で、お肌の曲がり角を迎える30代で老化細胞がではじめ、
加齢と共に加速的に老化細胞が蓄積されていくと。
面白いのが、若いうちは老化細胞なんてないやろって思っていたのですが、
確かにその割合が0%のヒトもいる一方、2、3%くらいある人もいるってこと。
逆に高齢者でも、その開きはかなりあるわけ。
老化細胞の蓄積が多い、少ないで見た目に相関があるかどうか
ってのが分かれば、なお面白いデータになったと思われます。
この蓄積の差は老化細胞の除去能力の差であり、当然ながら老化細胞の蓄積は
肌の様々な機能の低下を招きます。
その機能の1つにマイクロファージの活性を落とす作用があると
いうことが今回明らかになっています。
つまり、老化細胞が蓄積すればするほど、
マイクロファージが弱っていくため、
蓄積が加速的に増えるというわけ。
じゃあどうすればよいか?
ってとこまでは発表されていないんですよね。
普通はこの結果をもとに、○○エキスが有効だって
とこまで持っていってから発表するんですけど、
純粋な学術発表になっとるわ。
まあ、研究はしていると思いますけどね。
さてさて、この研究から推測するに、
1つは老化細胞を減らせば、万事解決する問題です。
老化細胞を作らせない、老化細胞を若返らせることができる、
そんな成分が求められます。
勘のいい方はすでに察しているとは思いますが、
抗老化ホルモンであるクロトーを取り入れれば、
老化細胞を減らすことができます。
高齢者の間で老化細胞の割合に大きな開きがあるのは、
結局はクロトーの量の差に依存していると思われます。
もう1つは炎症を抑えること。
老化細胞がだすSASP因子(Senescence associated secretory phenotype)
のサイトカインの放出を抑える、もしくは無効化することで、
マクロファージの弱体化を防ぎ、適切に老化細胞を処理できるようになります。
若い段階で老化細胞が存在しているのは、アトピーなどの
皮膚疾患を持っているなどして、肌が炎症状態にあるからだと
思われます。
すべての老化は炎症から始まるといわれるように、
炎症を抑えることは非常に大事なことです。
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