レチノール誘導体の種類
レチノールは知っての通り酸化しやすい性質があり、
放っておくとすぐに酸化してしまいます。
そこで酸素がくっつく場所に予め別のものをくっつけているのが
レチノール誘導体となります。
ちなみに自然界ではβカロテンの状態で存在します。
レチノールが2つくっついた状態で、ニンジンなんかに多く含まれます。
ある意味βカロテンもレチノール誘導体といえます。
パルミチン酸レチノール
もっとも使われているレチノール誘導体。
安定性が最も高く、刺激性もかなり低いです。
表皮の酵素によってレチノールに変換されます。
プロピオン酸レチノール
Vitamin A-Propionate CareというBASFの原料。
使われている製品を見たことがないです。
加水分解酵素でレチノールとプロピオン酸に分解されます。
安定性、刺激性はパルミチン酸レチノールと変わらないですが、
浸透性がこちらの方が若干高いです。
酢酸レチノール
エイチ・ホルスタインで取り扱われている原料。
浸透性に優れています。ただし刺激性はパルミチン酸レチノールと比較すると
若干高い傾向にあります。
作用としてはヒアルロン酸やエラスチンの産生を高める効果が確認されています。
リノール酸レチノール
NIKKOL VA-LINOという日光ケミカルズの原料。
メラニン生成を抑制することから、美白効果のあります。
レチノールとの相乗効果でシミの排泄を促すことが期待されています。
ぶっちゃけ、扱うのがクッソ面倒くさい。
水添レチノール
NIKKOL レチノール H10という日光ケミカルズの原料。
抗シワでの部外品登録をされていますが、正直弱いです。
紫外線により引き起こされる炎症反応をサイトカインの
分泌を抑制することによって緩和させます。
レチノールに水素をくっつけたものなので、レチノールを
誘導することはないと思われます。
レチノイルヒアルロン酸Na
HyRetinという樋口商会で扱われている原料。
これはレチノールではなくてレチノイン酸誘導体。
作用はレチノールの比ではなく強力ですが、
ヒアルロン酸とくっつけることで刺激性を緩和しています。
売る側、作る側、買う側にもリスクが高い原料。
レチノイン酸ヒドロキシピナコロン
Granactive Retinoidという原料。
レチノールを誘導するわけではなくて、このままの形で作用します。
レチノイン酸受容体ではなく、レチノイドX受容体に作用することから
レチノイド反応が起きにくいです。
刺激性がないことから高濃度で配合可能です。
レチノイン酸トコフェリル
NIKKOL トコレチノエート-10という日光ケミカルズの原料。
レチノイン酸とビタミンEをくっつけたものですが、
エステラーゼの影響を受けないので、分解されず
誘導することはないです。
高い抗酸化作用があるといわれます。
まだあるかもですが、認知しているのはこのくらいです。
レチノール、正確にはレチノイン酸には2つの受容体があり、
どちらも活性化させるのが理想です。
しかしながら高濃度のレチノールにされされると、レチノイド反応という
副反応がでてしまい、その結果レチノイン酸受容体にレチノイン酸が
ハマらないようレチノイン酸を吸着するタンパク質が作られ、
レチノイン酸とその受容体にくっつくのを阻止するようになります。
これがレチノイン耐性と呼ばれるものです。
レチノイド反応が起きない安全なレベルでレチノールを配合させて、
レチノイドX受容体にだけ反応するやつを高配合させるというのが
一番合理的なレチノールの使い方になります。
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