· 

結合型セラミドの構造を解明される

システイン結合型P-EOセラミド

北海道大学が結合型セラミドの構造を解明し、その産生の反応様式を明らかにしました。

Determining the structure of protein-bound ceramides, essential lipids for skin barrier function

 

北海道大学はセラミド関連では国内トップクラスに研究されています。

化粧品業界ではセラミドといえば。脂質ラメラ部分に話になるわけですが、

実際にはと⾓質細胞脂質エンベロープも存在しています。

 

角質細胞表面のタンパク質とアシルセラミドが結合したものを

結合型セラミドと呼び、角質層のバリア性を強固なものにしています。

 

結合型セラミドは角質層で重要な役割があるのですが、

その構造などはよくわかっていないという状態でした。

それが解明され、新たな治療薬の開発に役立つと期待されています。

 

アシルセラミドのリノール酸部分がエポキシエノンセラミド(EE セラミド)へ

と変換されます。

 

さらにEEセラミドはエノン部分が求核性アミノ酸残基と

マイケル付加反応あるいはシッフ塩基形成によってタンパク質と

共有結合されます。(P-EOセラミド)

 

で、P-EOセラミドはシステインにくっついているってのがわかり、

システイン結合型セラミドってのが肌においてメインの結合型セラミド

ってことがわかったというお話。

少なくても60%以上はシステイン結合型セラミドなんだそうな。

実際にシステイン以外と結合しているものが検出できていないので、

ほぼほぼシステインと結合しているのだとは思われます。

 

まあ、小難しい話なのですが、従来はアシルセラミドがω-水酸化セラミドとなり、

それがタンパク質と結合(P-Oセラミド)すると考えられていたのですが、

その前提が全部覆ったというかなり衝撃的な話なんよ。

 

 

アトピーをはじめとする様々な皮膚疾患で、この結合型セラミドが

作られない、作られるが量が少ないというケースがあることが分かっていますが、

現状はどうこうすることができません。

 

アシルセラミドを補うことはできるのですが、

EEセラミドとなるまでに3つの酵素が必要となり、

そのどれか1つでも欠けたら結合型セラミドを作ることができません。

 

しかし、EEセラミドがシステインに結合するのに酵素は必要ないので、

EEセラミドの形で補えば、結合型セラミドが作られる可能性が高く、

新しい治療薬の候補となり得るってなわけ。

アトピーを完治させてしまう薬が近い将来できるかもね。

 

セラミド市場での今後の動きとして、EEセラミドを増やすようなもの、

もしくはEEセラミド自体への研究が行われていくことになると思われます。

まあ、実際に市場にでてくるのはかなり先となるでしょうが。

 

 

<<<前           次>>>