近年、注目のワードです
ここ数年でよく聞くようになったゾンビ細胞。
ゾンビ細胞とはなんぞやって話ですが、簡単に言えば老化細胞のこと。
老化細胞は周りの細胞に影響し、周りの細胞を老化細胞に変えていきます。
それがまるでゾンビに噛まれた人がゾンビになっていくみたいなので、
ゾンビ細胞と呼ばれます。
この老化細胞はガン化を防ぐための1つの仕組みで、
紫外線や有害物質などでDNAに修復不可能なダメージを受けた時、
細胞分裂を停止します。
この細胞分裂を停止したのが老化細胞で、
分裂を停止しなかったのがガン細胞となります。
通常は老化細胞はアポトーシスするか、免疫細胞によって処理されます。
理由は分かっていないのですが、死なずに残ってしまうことがあります。
死なずに残った老化細胞はSASP(細胞老化関連分泌形質)を分泌します。
SASPはNF-κBを活性化させることで、炎症性サイトカインなどの炎症関連遺伝子の
発現を亢進させます。
炎症を促すことで、そこに処理すべき老化細胞があることを主張しているわけです。
一連の炎症反応によって、周りの細胞にダメージを与え、
その結果、ガン化を誘発するといわれていますが、
それを抑えるために老化細胞になります。
これが老化が感染する仕組み。
で、老化細胞が蓄積することで様々な弊害がでます。
老化の仕組みの根本的な原因で、仮に老化細胞をすべて除去できれば
寿命が今の倍になるといわれています。
NF-κBの活性を抑制することができる、アーティチョーク葉エキスは
ある意味老化細胞の感染を防ぐ効果もあるともいえるかな。
アーティチョーク葉エキスを摂取するってのは、思ってるよりも
意義のあることなのかもしれませんね。
肌にも老化細胞が存在し、慢性炎症の原因の1つとなっているわけですが、
老化細胞を除去する原料を紹介していこうかと思います。
アルパイン ローズ アクティブ(Alpine Rose Active)
アルパインローズはアルプス三大名花の1つ。
老化細胞を除去する効果があるとのことですが、
紫外線のダメージによって発生する活性酸素を除去する
いわゆる抗酸化作用が作用機序になります。
表示名称は水、グリセリン、ロドデンドロンフェルギネウムエキス
推奨量は2%
メドウスイート
北海道暑寒別岳パイロットファーム」で有機栽培したメドウスイートから抽出したエキス。
ノエビアの独自原料になります。
老化細胞を除去するというよりは、抗炎症作用によって老化細胞を作らせないというのが
作用機序になると思われます。
表示名称はセイヨウナツユキソウ花エキス
推奨量は不明
ヘベリス(HEBELYS)
海水から単離した極限環境微生物の培養液になります。
抗酸化作用によって、紫外線のダメージを軽減することで
老化細胞の発生を抑えるとともに、SASPの発生を抑制し、
炎症物質の発生を抑制します。
表示名称は:プロパンジオール、スフィンゴモナス培養液
推奨量は1%
正直、老化細胞を直接的に除去するっていうよりも
抗酸化作用によって老化細胞の発生を抑え、
抗炎症作用によって老化細胞の蔓延を抑えるって感じかな?
何はともあれ、抗炎症作用の重要性を再確認できますね。
GLS1(グルタミナーゼ1)阻害薬が老化細胞除去効果があるとのことで、
セノリティクス薬の候補として大変注目を集めています。
アミドヒドラーゼ酵素の一種で、グルタミンからグルタミン酸およびアンモニアを産生させます。
老化細胞を選択的の除去し、老化を改善することが確認されています。
ガン、糖尿病、動脈硬化などなどの生活習慣病の治療にも期待されているとか。
マウスでは老化細胞が除去されることで抗老化ホルモンであるクロトーの産生が高まったとも。
ダサチニブとケルセチンを併用することで老化細胞の除去ができる
ことが分かっています。
ダサチニブは白血病の薬になるのかな?
チロシンキナーゼ阻害剤で、ガン細胞の増殖、新生血管を抑制するなど、
ガン細胞の活性全般を抑制する効果があるとされます。
ケルセチンは玉ねぎの皮の部分に多く含まれています。
血液をサラサラにする効果があるといわれています。
昨今、注目度が上がっている成分です。
薬でないものとの組み合わせで、セノリティクス効果を
出せるものの発見が熱望されています。
化粧品でもあと2、3年後にはこれらに関連した原料がでてくるんでないかな?
現状では塗布で直接的に老化細胞を除去ってのは難しいと思われるので、
いかに老化細胞を作らせないか(UV対策)、いかに老化細胞の伝播を防ぐか(抗炎症)
ってのが重要になります。
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